ウェールズ代表をヨーロッパ王者に4度導き、今年のラグビーワールドカップ日本大会を同代表指揮官としての集大成にすると決めているウォーレン・ガットランド(55歳)が、ワールドカップ後は母国ニュージーランドに帰国し、チーフスのヘッドコーチに就任することが決まった。
スーパーラグビーで2回の優勝を誇るチーフスは、2018年から指揮を執ってきた元マオリ・オールブラックス ヘッドコーチのコリン・クーパーが2季連続プレーオフ準々決勝敗退に終わったあと、退任を表明。ラグビーフィールドの現場で、選手と近い距離でのコーチングに情熱を持っていたベテラン指導者のクーパーは、「最近ではチームが大所帯になって選手だけでなく関わるスタッフも多くなり、情熱からどんどん離れていった」と胸の内を明かし、契約はあと1年残っていたが退任を選び、しばらくは家族と過ごすことを最優先にするという。
クーパーはシーズン終盤からチームとの話し合いを重ねていたようで、来季へ向け新体制作りに着手していたチーフスは6月28日、新ヘッドコーチとして、ガットランドと4年契約を結んだことを発表した。
チーフスの本拠地であるハミルトン出身のガットランドは、「ホームに帰る機会を得て、とても興奮している。ヘッドコーチとしてチーフスに戻ることになり、選手、ファン、スポンサーとともにチーフスコミュニティーの一員になることを本当に楽しみにしている」とコメントした。
元ニュージーランド代表フッカーのガットランドは、過去、スーパーラグビーで指揮したことはないが、2006年と2007年にチーフスのテクニカルアドバイザーだった。コーチングキャリアは30年で、1998年から2001年にかけてはアイルランド代表のヘッドコーチを務めている。その後、ロンドン・ワスプス(イングランド)を率いてプレミアシップ3連覇を遂げ、2003-2004シーズンにはハイネケンカップ(現 ヨーロピアン・チャンピオンズカップ)との2冠を達成。自身もプレーしたワイカトの指揮官になってからは、2006年にニュージーランド国内王者に導いた。
そして、2007年末に、現在も務めているウェールズ代表のヘッドコーチに就任。ヨーロッパの強豪6か国が競うシックスネーションズで4回優勝し、そのうち3回(2008、2012、2019年大会)は全勝のグランドスラムという快挙を遂げている。
現在、ウェールズ代表は世界ランキング2位。ガットランド体制12年の集大成として臨む今年のワールドカップで、悲願の初優勝を狙っている。
世界的名将のひとりであるガットランドは、4年に一度結成されるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズのヘッドコーチを過去2度任され(2013、2017年)、2021年に南アフリカへ遠征するライオンズもけん引することが決まっており、2020年のスーパーラグビーが終わったあと約1年間はチーフスを離れてライオンズの仕事を優先することになる。