専大ラグビー部は6月9日、神奈川・専大伊勢原グラウンドで関東大学春季大会Cグループの最終戦で立大に48-10と快勝。戦績を4勝1敗とし、2015年度以来2度目となる同グループ優勝を果たした。
前節までの4試合が終わった時点で、最後に勝てば頂点に立つ可能性が浮上していた。元日本代表SHの村田亙監督は事前に選手へその旨を伝え、この日を迎えていた。相手も結果次第で王者となりえたなか、緑と白の集団が試合を支配した。
攻めてはゲインライン上でのパス交換を交えつつ左右へ球を回し、ラック周辺の穴やペナルティキック獲得後の隙を突いてトライを創出。週に1度はライブで組み込むというスクラムでも優位に立ち、SOの郡司健吾主将は得意のランとキックで光った。
守っては夏井大樹、平山壮太の両CTBらが鋭い出足のタックルを連発。ピンチを迎えた際のバッキングアップでも見せ場を作り、郡司は「BKのバッキングへの意識、FWの前に出る意識が出てきた」と安堵。後半12分には両CTBの敵陣深い位置での防御から攻撃権をつかみ、最後は右PRの栗山塁のトライで31-10と勝負を決定づけた。
「さらにフィジカルアップをさせるためにウェイトは継続していますし、スキルの部分ではバリエーションを増やしています」とは、村田監督だ。
元東芝の竹内明彦ストレングスプロコーチ、竹内氏に師事する石川慎二S&Cトレーナーが着任して3季目とあり、筋量増加には手応えをつかんでいる。さらにお家芸の「フレンチスタイル」を進化させるべく、郡司いわく「新しいサインプレーにチャレンジして、何が使えて、使えないかを春シーズンで見極める」とのことだ。
昨季は加盟する関東大学リーグ戦で、3季ぶりに1部へ参戦。法大から白星を得てファンを沸かせながら8チーム中7位と苦しんだ。今季はさらなる底上げを目指していたため、立大戦後の指揮官は教え子たちの成長に喜んだ。
「もともとグラウンドをいっぱい使って、FWもパスをして……とボールを運ぶ意識がありましたが、今季はより攻める姿勢が見えてきた。いいラグビーができている」
最終目標を大学選手権出場(リーグ戦では上位3傑入りが必須)とするなか、この季節は難関へ挑む。6月23日には一昨季まで大学選手権9連覇の帝京大へ、続く29日には準優勝3回の東海大へ赴く。練習試合をおこなう。
特に試金石としたいのは帝京大とのゲームか。クラブのホームページの記録上、過去の対戦3年間の対戦成績は「2016年5月28日:専大A×帝京大C ●24-88」「2017年5月14日:専大A×帝京大BC ●38-52」「2018年5月27日:専大A×帝京大BC ●31-50」となる。専大は「A」と呼ばれる主力を揃えながら、「BC」という控え以下の帝京大に屈している。
村田監督は防御に伸びしろがあるとして、こう話す。
「(以後は)もっとシャープにそつなくディフェンスラインを上げて、相手の芽を摘めるようにしたい。(帝京大戦では)毎年、勉強させられています。差は詰まってきていると思うのですが、今年は勝つつもりで挑みたいです」
今季の船頭役となる郡司主将は「できるサイン、通用できるサインがわかってきた。帝京大、東海大との試合で、それをより通用させられるようにしていきたいです」。グラウンド外では「私生活は重点に置いていて、普段からルールを守れない選手には注意しています」と、特に最上級生の態度には目を光らせたいという。FWリーダーとしてスクラムを引っ張るHOの宮本詩音も「足もとが乱れたら全部が乱れると体感している」とし、下駄箱や玄関の靴をきれいに並べたいとうなずく。
芝の上でも寮内でも、高みを目指す。