ラグビーリパブリック

日本、最後のパリ大会で奮闘するも痛恨黒星で8強入りならず。コアチーム残留へ大ピンチ

2019.06.02

ニュージーランド相手に健闘した日本だが、惜敗(Photo: Getty Images)

 ワールドラグビーセブンズシリーズにフル参戦できる“コアチーム”に、なんとしても残留したい男子セブンズ日本代表だが、2018-2019シーズンの最終・第10ラウンド、パリ大会でベスト8入りを逃し、崖っぷちに立たされた。
 シーズン総合ランキングが降格対象の15位である日本は、現地時間6月1日におこなわれたプールステージ(D組)の初戦で、今季2大会で準優勝しているホームチームのフランスを17-14で下し、歓喜の好発進となったが、2戦目で総合3位の強豪ニュージーランドに14-31で惜敗。ベスト8入りがかかったプールD最後のスコットランド戦は、6点リードで迎えた試合終了間際に逆転され、21-22で痛恨の黒星を喫した。
 プールDでは日本、フランス、スコットランドの3チームが1勝2敗(勝点5)で並んだが、得失点差でフランスが2位通過となり、同組1位のニュージーランドとともにカップ準々決勝進出となった。
 日本は最終日の6月2日、9位以下のトーナメントに臨む。

 前ラウンド終了時の総合ランキングで日本とわずか2ポイント差の14位だったケニアは、プールBでオーストラリアと引き分け、残留を争うもうひとつのライバルであるウェールズに逆転勝ちし、1勝1分1敗で2位通過となってベスト8入り。パリ大会で日本を上回る8位以上が確定したため、ケニアのコアチーム残留が決まった。

 日本が残留するためには、5ポイント差で追う総合13位(前ラウンド終了時点)のウェールズを逆転しなければならない。パリ大会で9位になれば8ポイントを獲得することとなり、日本に逆転の可能性は残っているが、ウェールズが9位以下のトーナメント初戦(チャレンジトロフィー準々決勝)でカナダに勝てば、その時点で日本の降格が決まる。その前にイングランドと対戦する日本が敗れれば、残留争いのサバイバルはそこでゲームオーバーとなる。

<1大会で得られるポイント数>
■優勝:22点 ■準優勝:19点 ■3位:17点 ■4位:15点
■5位:13点 ■6位:12点 ■7位タイ:10点
■9位:8点 ■10位:7点 ■11位タイ:5点
■13位:3点 ■14位:2点 ■15位タイ:1点

 プールDのフランス戦、日本は相手に先制を許したが、前半4分、スピードスターの松井千士が俊敏な動きでディフェンダーを振り切ってトライを奪い、5-7と2点差に詰めて折り返した。
 スタジアムはフランスへの大声援が響く完全アウェイの雰囲気だったが、日本は後半2分、ベテランの坂井克行がディフェンスのギャップを突いてゴールへ駆け抜け、12-7と逆転した。日本はこの試合、キックオフのボール争奪が好調で、ブレイクダウンでも奮闘。3分には本村直樹がディフェンダーを引きずりながらファイブポインターとなり、10点差をつけた。
 フランスは残り1分の時点でトライを奪い返し、コンバージョンも決めて3点差としたが、リスタートのキックオフをフランスが失敗し、やがて残り時間は無くなって日本が歓喜した。

 ニュージーランドには敗れたが、実はこの試合も接戦で、日本はリードして折り返し、2試合連続の金星獲得をやってのけそうな雰囲気はあった。
 7点ビハインドの前半3分、藤田慶和の好走をきっかけに敵陣22メートルラインに迫り、松井もゆさぶり、トロケ マイケルが同点につながるトライを挙げた。5分にも粘り強くつなぎ、副島亀里ララボウ ラティアナラからオフロードパスをもらった本村がゴールに持ち込み勝ち越した。
 しかしハーフタイム前、副島がハイタックルでイエローカードを提示され、数的不利のなかトライを奪われ、14-12と2点差に詰められ折り返した。
 流れを変えたニュージーランドは後半2分、21歳のジョナ・ナレキが自陣深くから強烈なハンドオフと軽快なフットワークでタックラーを外し、100メートル近く走り切って逆転トライを決めた。
 3点を追う日本は4分、敵陣22メートルライン近くまで迫ったが、ラインアウトを失敗してチャンスをつぶし、逆に6分、ニュージーランドがラインアウトからの攻撃でトライを取り切り、点差を拡大。日本はその後も果敢にチャレンジを続けたが試合終了前にも失点し、14-31で惜敗となった。

スコットランド戦前にハドルを組む日本(Photo: Mike Lee – KLC fotos for World Rugby)

 そして、プールD最後のスコットランド戦。日本はこれに勝てば、1勝1敗で並んでいたフランスにプレッシャーをかけ、2016年ラスベガス大会以来のベスト8入りへ大きく前進するところだったが、ラストプレーでまさかの逆転負け。
 この試合も追う展開となった日本だが、前半5分、この日36歳の誕生日を迎えた副島のトライなどで逆転すると、ハーフタイム前には相手のキックミスからチャンスとなり、副島と松井が大きくゲインしたあと、坂井、トロケとつなぎ2トライ目を獲得。14-5で折り返した。
 後半に入り、スコットランドに2本連続でトライを奪われ14-15と逆転されたが、残り1分、日本は相手スローインのラインアウトでプレッシャーをかけてボールを奪い返し、つなぎ、松井の好走で敵陣22メートルライン内に入ると、すばやくワイドにボールを動かし、本村、副島、トゥキリ ロテ、藤田とつないで逆転トライ。コンバージョンも決まり21-15とした。
 しかし、フルタイム経過後のファイナルプレーで、キックオフボールを確保したスコットランドが攻め上がり、ラックで日本に反則があった直後、クイックタップから仕掛けたランナーがゴールへ走り切り、1点差。そして、ギャヴィン・ロウが難しい角度からのコンバージョンを決め、日本は痛恨の逆転負けとなった。

 6月2日がサバイバル最終日。残留するのは日本か、それともウェールズか。