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サンウルブズ、今季は秩父宮で勝てず2年連続の最下位確定。「誇り持って戦っているが…」

2019.06.01

ブランビーズのピート・サムにプレッシャーをかけるサンウルブズ(撮影:松本かおり)

 キックオフからまもなく赤いジャージーの背番号11がゴールへ駆け抜け、東京・秩父宮ラグビー場に集まった1万6741人の観客を興奮させたが、サンウルブズは今季ホーム最終戦に勝つことはできなかった。6月1日、2019スーパーラグビーの第16節でオーストラリアの強豪ブランビーズに挑むも、19-42で敗れた。今季はアウェイで2勝しているサンウルブズだが、結局、ホームでは一度も勝てず、12敗目。海外遠征であと2試合残っているが、2年連続3回目の最下位が確定した。

「しっかり準備してきたから、選手のパフーマンスは誇らしく思う」
 サンウルブズのスコット・ハンセン ヘッドコーチ代行は試合後、そう語った。
 しかし、今年秋にワールドカップを控える日本代表候補選手たちが別で強化活動をおこなっているため、サンウルブズは選手の出入りが多く、チーム作りの難しさを感じている様子。
「サンウルブズは、とてもユニークなチーム。選手の入れ替わりも多い。だけど、言い訳はしない。サンウルブズのジャージーを着たら、全員が誇りを持って戦っている。ただ、コンビネーションという点では確かに難しい。選手から、『今週はどのポジションですか?』と質問が来る。そういうことは他のチームではないと思う」

 一方、オーストラリア・カンファレンスで首位を争っているブランビーズにとっては大きな1勝となった。サンウルブズより3トライ以上多くトライを挙げたためボーナスポイントも獲得し、同カンファレンス2位のレベルズに5ポイント差をつけ、プレーオフ進出争いで一歩抜け出した。

 ダン・マッケラー ヘッドコーチは「前半はプレッシャーをかけられ、受けに回ってしまったところもあったが、その中で、BKがよくボールを動かした。後半は、チャンスがあればモールを使い、よりコントロールした試合展開に持ち込めた」と試合を振り返り、シーズン終盤の負けられない状況での勝利を喜んだ。

先制トライを挙げたサンウルブズのホセア・サウマキ(撮影:松本かおり)

 サンウルブズは開始1分も経たぬ間に先制した。FBセミシ・マシレワが高く蹴り上げたボールはWTBホセア・サウマキの手に収まり、そのまま約40メートル走り切ってゴールラインを割った。

 しかしブランビーズは9分、CTBイラエ・シモネがディフェンスを破り、NO8ピート・サムにつないでトライを挙げ、コンバージョンも成功で同点に追いついた。21分には敵陣深くでの連続攻撃をCTBシモネがフィニッシュし、勝ち越す。さらに29分、SOクリスチャン・リアリーファノがディフェンス裏にチップキックを放ち、WTBヘンリー・スペイトがダイレクトキャッチしてつなぎ、FBトム・バンクスがゴールに持ち込みリードを広げた。

 流れを変えたいサンウルブズは35分、FBマシレワが敵陣10メートルラインから抜け、3人のタックラーを外してゴール右にトライを決め、秩父宮が沸いた。12-21と、9点差に詰めて折り返した。

 後半最初に得点したのはブランビーズで、49分(後半9分)、得意のドライビングモールで点差を広げたが、サンウルブズは食らいつき、その2分後、またもFBマシレワがハーフウェイから次々とタックラーを外して大きくゲインし、サポートしたSHジェイミー・ブースも鋭い走りでフィニッシュ。SOヘイデン・パーカーがコンバージョンを決め、再び9点差とした。

 しかし58分、サンウルブズに反則があり、敵陣深くに入ったブランビーズはまたもラインアウトからモールで押し込み追加点を奪った。72分にも同じ形でトライを挙げ、勝負あり。

 サンウルブズのハンセン ヘッドコーチ代行は、先週の試合で課題としていたスクラムについて、「よかったところ、よくなかったところ、両方あった」と見る。後半、相手にモールで3トライ奪われたことについては、「反則でPKを蹴り込まれる流れが良くなかった」とコメントした。ポジティブな面もあり、「ボールが動いた時も、倒れてもすぐに立ち上がり、ボールをキープするところはできていた。スペースにボールを運び、しっかりアタックするということをやれていた」と評価した。

 今季ホームで勝てなかったサンウルブズだが、まだ戦いは続く。この日ゲームキャプテンを務めたパーカーは、「スコッドが多く、難しいところもあるが、いつもホテルでともに過ごしているので、すぐにまとまれているとは思う。そういう人の入れ替えが多いとコンビネーションは難しいが、みんなのプレーは誇りを持てるものだった」と、秩父宮でのラストゲームを振り返った。

 サンウルブズが今季チャレンジできるのはあと2試合。いずれも海外でのゲームとなり、現地時間6月8日に南アフリカのケープタウンでストーマーズと対戦し、同14日にはアルゼンチンのブエノスアイレスでジャガーズ相手に最終戦を戦う。