6月1日の今季ホーム最終戦。サンウルブズは背番号19を、5月27日に合流した大戸裕矢へ預けた。国際リーグ・スーパーラグビーの第16節。本人も嬉々として臨むだろう。かねて言っていた。
「チャンスをもらえたことはポジティブに捉えています。代表(候補が並ぶウルフパック)にいさせてもらったうえ、ここでもアピールの場がある――」
身長188センチ、体重104キロの29歳。LOとしては決して大柄ではないものの、スキルと運動量を長所に台頭。普段所属するヤマハの国内トップリーグでの上位進出を支え、2017年には日本代表デビューも果たした。
ワールドカップ日本大会がある今年は、ワールドカップトレーニングスコッドキャンプとウルフパックの活動に参加。ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)率いる日本代表へ入るべく、他の代表候補と汗を流した。
海外出身者との定位置争いにあって、グラウンド内外での献身ぶりを見せつけた。日々を振り返る言葉に、聡明さとバランス感覚をにじませる。
「僕自身、LOとしてはギリギリのところに置かれている立場。ジェイミーが近くにいるなかで、グラウンド外での分析にも力を入れました」
サンウルブズへの途中合流が決まったのは、5月中旬にウルフパックの活動が終わってから。ジョセフHCとは「そんなに深い話はしていない」としながら、「こっち(サンウルブズ)に行くことは『アピールの場』という感じで言われています。緊張感はあります」とする。
スーパーラグビーへ挑むのは2017年以来。チームはここまで2勝11敗と苦しむが、「いざ合流してきたら皆のモチベーションは高い。ホーム最終戦。気合い、入ってます」と笑顔だ。
今度対戦するブランビーズは、大戸にとってなじみのある相手だ。というのもウルフパックは5月12日、同クラブのBチームと対戦。大戸は事前にブランビーズ主力格の「ラインアウト(の動き)などをずっと見ていた」とあって、今度は相手ボールの空中戦へ首尾よくプレッシャーをかけられるか。
一方ラインアウトの自軍ボール確保へは、ブランビーズ戦後も見据えてか「次からアイデアを出していければ、と、自分のなかではあります」。ヤマハでもウルフパックでも、長身選手の限られる陣容で球を保持してきた。これまで踏ん張ってきたサンウルブズ勢を讃えながら、「ウルフパックはスピード重視でパン、パンと捕っていた」。動きの簡略化など、提言できる領域をイメージしていそうだ。
とにかく、日本代表入りへ最大限の努力をしたい。6月2日以降の活動については未定としながら、こう続ける。
「スーパーラグビーのレベルでどれだけ精度の高いプレーができるか。そこをジェイミーも、こっちのコーチ陣も見ていると思います。他のLOと違うスキルや運動量も見せていきたいです」