ラグビーリパブリック

テビタ・タタフ、絞った。サントリーで目指すのは日本代表復帰。

2019.05.18

テビタ・タタフ。サントリーサンゴリアスのクラブハウスで(撮影:向 風見也)

 クラブハウス以外での食事は手を付ける前に写真に撮り、無料通話アプリの「LINE」でチームのスタッフに送信する。昨季まで東海大にいたテビタ・タタフは、サントリーに入ってから体重を約「3キロ」は落としたという。

 2012年にトンガから来日の23歳は、日本語で明かす。

「前よりは、痩せているかと思っています。体重が重いから、しっかり減らすイメージでやっています。炭水化物とか、食べて太るものは、気を付けています」

 5月18日、東京・サントリー府中スポーツセンター。日野との練習試合でハーフタイム明けから登場する。得意のジャッカル(接点で相手の球に絡むプレー)で向こうの反則を誘い、攻めては再三にわたり強烈なランを披露。19-19の同点で迎えた後半39分には、敵陣ゴール前右ラインアウトからの攻撃中に防御網をぶち破り勝ち越し。最後は33-19で白星をつかんだ。

 現状ヘッドコーチに近い役割を担う田原耕太郎コーチングコーディネーターも、「すごいですね。きょうは彼に勝たせてもらった」とうなずく。

「大事な選手だから、しっかり育てないと」

 トンガ生まれの両親のもとサモアに生まれ、幼い頃にトンガへ転居。日本へ来たのは2012年だった。東京・目黒学院中を経て目黒学院高に在籍し、東海大2年時には日本代表デビュー。各所では次世代を担うFW第3列と見なされている。日本の義務教育を経験しているため、トップリーグでは外国人枠外でプレーできる。

 一昨季まで2年連続で国内タイトルを制覇したサントリーは、トレーニングの厳しさと計画性に定評がある。ここでタタフに課されたのが、通常練習とは別のバイクトレーニングと節制生活だった。練習後にクラブハウスで摂るビュッフェ形式の食事は、管理栄養士の金剛地舞妃さんの助言を受けて盛り付け。スタッフの談話によれば、外食が管理下に置かれるのはオフ時のリバウンドを最小化するためと見られる。

 加盟する国内最高峰のトップリーグはカップ戦を6月に、レギュラーシーズンを来年1月に開く。公式記録を「187センチ、122キロ」とする戦士は、余計なものをそぎ落としながら新たな環境に挑む。

「まず(試合の)メンバーに入ることで、サントリーが優勝できるようにしていきたいです」

 来日時から昨季まで同じチームにいたアタアタ・モエアキオラは、神戸製鋼と契約しながらスーパーラグビー(国際リーグ)のチーフスでも活躍する。タタフは「一緒にプレーしていた人が上のレベルでやっているのは嬉しい」と、友からも刺激を受ける。

 日本代表からはしばらく遠ざかっているが、今年9月からのワールドカップ日本大会に向け「最後のメンバーが発表されるまで、チャレンジする」。ジェイミー・ジョセフ現ヘッドコーチ体制下での初選出も、密かに狙う。

Exit mobile version