NECグリーンロケッツに所属するプロップの瀧澤直が、北米プロリーグ(メジャーリーグラグビー)チームのオースティン・エリートに加入することが明らかになった。日本人選手がメジャーリーグラグビー(MLR)でプレーするのは初めて。
グリーンロケッツの広報担当者によれば、瀧澤は以前から海外挑戦への思いを持っていて、ヨーロッパなども視野に入れていたが、エージェントを通じ、発足2年目で注目度が上がっているメジャーリーグラグビーのオースティンへ入団が決まったという。32歳の瀧澤はすでに渡米しており、本日5月15日にチームに合流する。
1月26日に開幕した今年のメジャーリーグラグビーは、レギュラーシーズンは6月2日まで。テキサス州を拠点とするオースティン・エリートは現在0勝13敗でプレーオフ進出の可能性が消滅しており、瀧澤は残り3試合で歴史的なデビューを目指すこととなる。
ジャパンラグビートップリーグカップが開幕する6月22日までには帰国し、NECグリーンロケッツに戻る。
瀧澤は愛知県立千種高校、早稲田大学出身。U21、U23日本代表に選ばれたこともある。大学卒業後はいちどリクルートに入社したが、ラグビーを続けたいと思い直し、退社してNECグリーンロケッツの一員となった。2014年から4季連続でキャプテンを務めるなどリーダーシップがあり、身長175センチ、体重115キロのずんぐりした体型に天然パーマを伸ばしたヘアスタイルも愛らしく、オールスターゲームなどでもファンを喜ばせる人気者だ。
座右の銘は『Today is the first day of the rest of my life(今日という日は、残りの人生の最初の日である)』。
瀧澤が新たな挑戦の場に選んだアメリカは急成長している注目のラグビーマーケットだ。7人制代表は男女とも強く、昨年7月にサンフランシスコで開催されたラグビーワールドカップ・セブンズでは3日間で10万人以上の観客を集めた。男子の15人制代表は今年秋に日本でおこなわれるワールドカップへの出場を決めるなど力をつけており、2027年ワールドカップの開催国にアメリカを推す声は多い。
アメリカンフットボール、バスケットボール、野球、アイスホッケー、サッカーなどさまざまなスポーツが盛んなアメリカで、『メジャーリーグラグビー(MLR)』が始まったのは2018年。以前に『PRO RUGBY』という北米初のプロフェッショナル・ラグビー大会がおこなわれていたが、新たなプロリーグとして生まれ、1年目は7チーム参加だったのが、2年目の今年は9チームに増え、来年はさらに3チームが新規参戦することが決定している。
現在、瀧澤が向かったテキサス州オースティンのほか、同州ヒューストン、コロラド州デンバー、ルイジアナ州ニューオーリンズ、ニューヨーク、カリフォルニア州サンディエゴ、ワシントン州シアトル、ユタ州ソルトレイクシティ、そしてカナダのオンタリオ州トロントにプロチームがあるメジャーリーグラグビー。
今年のワールドカップ後には、フランス代表の世界的スターであるCTBマチュー・バスタローがラグビー・ユナイテッド・ニューヨークに加入することが決まっており、2011年のワールドカップ優勝メンバーである元ニュージーランド代表のFL/NO8アダム・トムソンはユタ・ウォリアーズの一員となった。トムソンは日本のNECグリーンロケッツに在籍していた2017年、脊髄感染症で長期入院し、命も心配されたが、回復してアメリカで新たな挑戦に励んでいる。