ラグビーリパブリック

大人も子供も、初めてのラグビーを満喫

2019.05.14
『コアラガール、ラボーイ…』は、経済界からラグビーを盛り上げることを目指している

『コアラガール、ラボーイ…』は、経済界からラグビーを盛り上げることを目指している(撮影:コアラガール・ラボーイ・プロジェクト)

4月29日、東大駒場グラウンドには、ラグビー未体験の老若男女120人が集まっていた。開催されたのは「コアラガール・ラボーイプロジェクト/第1回ラグビー祭」、初心者を中心にしたラグビー好きの子供、大人が楕円球に触れ、実際に体を動かす中で、この競技をさらに身近に感じてもらおうという試みだ。
 
運営に当たった(一社)日本経済団体連合会/産業政策本部・大橋泰弘氏のレポート・コラムを紹介する。

もっと気軽にラグビーを
 
 好きなスポーツについて、ラグビーだと語ると、かなりの頻度で、競技の経験の有無やポジションについての質問が返ってくる。
 
 この会話は嫌いではない。むしろ好きである。このやり取りから、お互いの距離が一気に縮まり、意気投合することを何度となく経験している。
 


 しかし、ラグビーが社会により広く浸透するという観点からみると、想定される会話にもう少し幅があってもよいのではないか。特に、我が国においては、ワールドカップの成功に向けて、新たなファンを巻き込んだ盛り上がりが不可欠であり、より多くの方が気楽にラグビーを語ることができる風土づくりが重要である。
 
 例えば、野球やサッカーをめぐっては、贔屓の球団やチーム、そこから転じて、お互いの出身地について語り合う光景がごく自然にみられるのではないだろうか。また、仮に競技経験を問われたとして、遊びなどの経験をもって、アリと返答する方も少なくないのではないだろうか。
 
 もっとたくさんの人がラグビーに興味をもって、気楽に語れるよう人を増やしたい。そのための一つの試みが「コアラガール・ラボーイプロジェクト」である。このプロジェクトは、ラグビー経験のない「ライト層」のビジネスパーソンを巻き込みながら、経済界からラグビーを盛り上げることを目的に昨年9月に発足。経団連が事務局を務めながら、現在は20を超える企業等の中にある有志のグループが草の根的にネットワークを形成しながら活動を続けている。
 
 プロジェクト名には活動理念が表されている。すなわち、ラグビーの知識がない方が一連の活動を通じて新しいファンとなり、コアなラガールやラボーイとして新しい仲間を連れてくる存在となることである。
 
 具体的な活動は試合の観戦や元日本代表をはじめとした有識者による講演会で、各イベントでは、ラグビーの魅力や社会にもたらす価値を分かりやすく伝えることに主眼を置いている。スポーツ庁が発信するように、スポーツ人口の増大には「する」「みる」「支える」の拡大が重要だが、ライト層からするとラグビーは「わかりにくい」「なんとなくこわい」という印象が先行し、そこにたどりつくためのハードルが高い。そこで、企業内にいるラグビー経験者が、職場内で初心者・未経験の方を誘い、イベント当日も寄り添い手厚くサポートすることで、ラグビーを知ってもらうことに取り組んでいる。

 ゴールデンウイークの4月29日には、「初心者中心」を掲げた体験会を開催。会場の東京大学駒場キャンパスのラグビー場には、子供も含めて120名を超える参加者が集まり、ゲストとして元ラグビー日本代表の大西将太郎さんを迎え、共催団体であるラグビーチーム「みんなのジャパンウェイ」(みんジャパ)の指導のもと、ラグビーの基本動作の体験に取り組んだ。

90名を超える大人の参加者のうち、1/3はラグビー経験がほぼなかったが、最後には全員がタッチフットの試合をできるようになり、白熱した試合が展開された。参加者からは、「ボールを持って実際に動いてみることで、ラグビーの基本的な動きがわかった」「今後は、チームとしての戦術も知りたい」などの感想が寄せられ、コアなラガールやラボーイの誕生に向けた貴重な機会となった。
 
今後も、活動理念を共有できる企業内の同好会などを中心にネットワークを拡大し、ラグビーワールドカップとその先の盛り上がりの維持・拡大に向けて、ラグビーについて気楽に語れる風土とファンの裾野拡大に精力的に取り組んでいきたい。

共催:みんジャパ(みんなのジャパンウェイ)、コアラガール・ラボーイプロジェクト、松戸アミューズメントラグビークラブ(協力)

(撮影:コアラガール・ラボーイプロジェクト)


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