「12年前にトップリーグにいた歴史はありますが、新しいチームと言っていいので、新しい文化を創っていきたいと思っています」
神奈川県で唯一のトップリーグチーム、三菱重工相模原ダイナボアーズのNO8土佐誠主将が4月23日、相模原(神奈川)の三菱重工相模原グラウンドで、トップリーグ2019−2020シーズンの意気込みを語った。
三菱重工相模原は昨季、7年連続の挑戦となった入替戦で、豊田自動織機に31−7で勝利。初参戦だった2007年度以来2度目のトップリーグへの昇格を決め、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で歓喜した。
「準備していたことが出せた良い試合でした。アウェーと天候が気になっていましたが、雨も止んでいましたし、アウェーとは感じないくらい、相模原から応援の方が駆けつけてくれていました」
選手、スタッフ、応援団が一丸となって掴んだ2度目のトップリーグ昇格。6月22日に開幕する「ジャパンラグビートップリーグカップ2019」へ向けて、現在チームはハードワークを重ねている。
「去年目標を達成したこともあって(雰囲気は)良いですね。みんなワクワクしている状態です。いまは初戦(トップリーグカップ2019/トヨタ自動車戦)をターゲットにしています」
ラグビー界では挑戦者として知られる32歳だ。
広島・尾道、関東学院大学、NECと進んだ身長188cmのNO8。社会人1年目には現地への語学留学など、猛勉強をへて英オックスフォード大学へ留学。
ケンブリッジ大学との定期戦「バーシティ・マッチ」の出場者となり、英国社会で文武両道の象徴といわれる「ブルー」の称号を得た。ブルー獲得は大学・社会人の先輩で同ポジションの箕内拓郎らに次ぎ、日本人選手4人目だった。
2016年度をもってNECを退社。豪州留学での武者修行をへて、同年に三菱重工相模原の一員となり、昨年よりNEC時代のHCでもあったグレッグ・クーパー新体制下でキャプテンに就任した。
チーム加入3年目、主将として2年目のシーズンを迎えた円熟のスキッパーは、チームの魅力をこう語った。
「いろんな人間の集まった集団ですが、ひとつの方向をしっかり向けています。外国人選手、若手選手、ベテラン選手、社員選手、移籍組——いろんなバックグラウンドをもった人間が集まり、同じ方向を向くことで、良いチームになれているなと思います」
チームは初挑戦だった2007年度で全敗を喫し、1季で降格となった。
すなわちトップリーグでの今季初勝利は、1971年に創部した三菱重工相模原の記念すべきトップリーグ初勝利、歴史的な一歩になる。
「チームとしては『負けて当たり前』みたいな試合はしたくありません。前回(2007年度)は1勝もしていないそうなので、勝てば勝つほど、それが新しい歴史になっていきます。新しい歴史を創ることが目標です」
個人としての目標は「ダイナボアーズを象徴するようなプレーをする」こと。
熱烈なサポーターの声援を受けながら、歴史の創造者たちの先頭に立つ覚悟だ。