ラグビーリパブリック

秋田で新女王誕生。太陽生命女子セブンズ今季初戦で「ながと」が初V

2019.04.30

優勝が決まった瞬間、感情があふれ出た。(撮影/松本かおり)



 どちらが勝っても初優勝だった。
 4月28日、29日に太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2019 第1戦 秋田大会がおこなわれ、ながとブルーエンジェルス(以下、NBA)が初めて頂点に立った。カップ決勝で対戦したのは、こちらも初めてファイナリストとなったYOKOHAMA TKM。17-14のスコアでNBAが歓喜の輪を作った。

 NBAは参戦2シーズン目で栄冠を手にした。今回の秋田大会ではプールBに入り、初日は2勝1敗。北海道バーバリアンズディアナ、自衛隊体育学校PTSに快勝したが、PEARLSには敗れてプール2位となり、カップトーナメントへ進出した。
 2日目は、同トーナメント準々決勝でRKUラグビー龍ケ崎GRACE、準決勝でARUKAS QUEEN KUMAGAYAに快勝して勢いがついた。頂上決戦では先手を取り続け、攻守でプレッシャーをかけた。TKMの粘りを振り切って勝利を手にした。

 大会MVPに選出されたタイシャ・イケナシオの豪快な走りだけでなく、激しく前へ出るディフェンスで勝利の道を走った勝者。初日には主力のひとり、冨田真紀子が左ふくらはぎを痛めてサイドラインから試合を見つめることになった。
 しかし、代わりにピッチに立ったルーキーの藤﨑春菜(追手門学院大卒)が責任を果たすプレーを見せるなど、チーム力の高まりを感じさせた。シーズン開幕をにらんで海外大会へ参加したり、対外試合を重ね、選手たちが実戦の中でコミュニケーション能力を高めたことが好結果につながった。

攻守で前に出てリズムをつかんだ。(撮影/松本かおり)




 チームを束ねる村杉徐司ハイパフォーマンスディレクター(以下HD)は、創部当時のことを思い出して言った。2018年シーズンの参加コアチームを決める入替戦(2017年11月)のことだ。

 大会システム変更(大会ごとの招待チーム枠を廃止)のため、結果的に繰り上がりでシリーズ参戦が実現したものの、当初は参戦が叶わないはずだった。外国人選手を擁す陣容ながら石見智翠館高校に敗れ、上位2チームの枠に入ることができなかったからだ。
「高校生のチームに負けたのに、ニュージーランドの選手たちの態度は素晴しかった。負けを受け入れる。相手を称える。そういうものを見て、マネージメントの私たちも、もっとしっかりやらないといけないな、とあらためて思いました」

 力のある選手たちさえ揃えれば勝てる。最初は、そう踏んでいたかもしれない。
 それが変わった。今季は計画的に、十分な準備を重ねてシーズンを迎えた。村杉HDは全員に、「ノーエクスキューズ(言い訳なし)だぞ」とはっぱをかけて今大会に臨んだ。
 狙って手にした栄冠だった。

 地域に根ざしたクラブを目指している。
 初めて手にしたタイトルは、応援してくれる人たちとの縁をこれまで以上に太くしてくれそうだ。

日本人選手と外国人選手の絆が深まり、力も伸びた。(撮影/松本かおり)