開幕まで150日を切ったワールドカップへ向けて切磋琢磨する日本代表トレーニングスコッドが、特別チームのウルフパックとして臨む強化試合の第4戦が4月27日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれ、ウェスタン・フォース(オーストラリア)と対戦し51-38で勝った。
フォースはかつて、サンウルブズが現在参戦中のスーパーラグビーで12シーズン戦った歴史を持つが、大会再編にともなって2017年を最後に除外され、いまは大富豪の支援を受けて新たに設立した大会で試合をおこなっているものの、多くのトッププレーヤーを失いビッグネームはいない。
そんな相手にウルフパックは後半途中まで快勝ペースだったが、次第にミスが目立つようになり、結局、奪ったトライは6本ずつ。後半40分間のスコアはフォースが上回り、ウルフパックにとってはキッカーを務めた松田力也がショット9本をすべて成功(ひとりで21得点)したのは大きかった。
「試合の3分の2は満足、残り3分の1は不満」とジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ。「多くのミスをして、プレッシャーをかけられてしまった。残念なのは、メンバー入れ替えをしたところで噛み合わない面が出て、若干プレッシャーをかけられてしまったこと」と試合を振り返った。
ウルフパックは序盤にPGで先制すると、前半11分には敵陣深くで相手スローインのラインアウトボールをLOヘル ウヴェがスチールし、攻め込み、WTB福岡堅樹がディフェンダーをかわしてHO坂手淳史にパスを通し、ファーストトライが決まった。
15分にはCTB梶村祐介がディフェンスでボールを奪い返したあとテンポよくつなぎ、NO8アマナキ・レレイ・マフィからオフロードパスをもらったWTBレメキ ロマノ ラヴァが右タッチライン際を振り切ってゴールに持ち込んだ。SO松田のゴールキックは好調で、PGでも加点し20-0とする。
しかし21分、リスタートのキックオフボールを相手に確保され、突破を許し、つながれ失点。フォースは25分にもディフェンス裏へのチップキックからチャンスを作り、大きくゲインしたランナーにサポートもついて連続トライを奪った。
ウルフパックはその後、PGで点差を広げ、相手にイエローカードが出て数的有利だった36分には、ハイボールの競り合いでこぼれたボールを敵陣深くで確保し、NO8マフィがインゴールに押さえトライ。30-10で折り返した。
ウルフパックは後半の立ち上がりもよく、44分(後半4分)、PRヴァル アサエリ愛やHO坂手などの力強い突進もあって敵陣深くに入り、すばやく右に展開してWTBレメキがフィニッシュ。
47分にはブレイクダウンでNO8マフィが絡み相手の反則を引き出すと、速攻、ボールを手にしたSO松田が意表を突いた左足のキックでインゴールにボールを転がし、俊足のWTB福岡が押さえ、44-10とした。
だが、「グローバル ラピッド ラグビー」大会のアジアシリーズでアジア・パシフィック・ドラゴンズ(シンガポール)、サウス・チャイナ・タイガース(香港)との連戦を控えるフォースは、56分にトライを奪い返すと、63分には俊敏でパワーもあるWTBマシヴェシ・ダクワカがWTB福岡、SO松田、CTBウィリアム・トゥポウのタックルを外して連続得点。フォースの勢いは止まらず、66分にはCTBマーセル・ブレーシュがキックしたボールを自らインゴールで押さえ 最大34点だった点差は約10分間で13点差に縮まった。
悪い流れを止めたいウルフパックは72分、交代で入ったばかりのSO山沢拓也が、相手のパスが乱れたところへプレッシャーをかけボールを蹴り、さらに巧みなフットスキルでインゴールまで転がし自ら押さえ、点差を広げた。
最後はフォースにトライを許したが、51-38で勝った。
ウルフパックのゲームキャプテンを務めたピーター・ラブスカフニは、「非常にいいラグビーができた半面、ミスがあり、相手にプレッシャーをかけられてしまう時間帯もあった」と反省。「途中、相手が戦い方を変えてきたのに対して、こちらも対応した。当初予定していたのとは違うプランに、切り替えることができたのは良かった」と収穫も口にした。
ウルフパックとしての強化試合はあと2試合、オーストラリアでの実施を予定しており、第5戦は5月12日にキャンベラのGIOスタジアムでブランビーズ(スーパーラグビー参戦クラブ)のBチームと対戦する。