学びと刺激にあふれた3日間だった。
4月21日から3日間、千葉県柏市で『JRFUユース・リソース・ブロックコーチキャンプ2019』が開かれた。
日本ラグビー協会のユースコーチ、リソースコーチと、全国9ブロックの各地域でそれぞれのU17代表選手たちを選出し、チームを指揮する監督・コーチらが出席した。台湾からの出席者もいた(竹圍高校/陳コーチ)。
コーチング理論や戦略、戦術についての講義がおこなわれたほか、各ブロックからの活動報告も。インプットするだけでなく全員が発信者にもなる時間が、参加者に新たな知見を加えた。
中竹竜二コーチングディレクター(以下、CD)が中心となっている同キャンプ。今回は、中竹CDが現職に就いて10年という節目の年におこなわれたものだ。
10年前の始まりの頃、参加者たちは互いを警戒し、手の内、胸の内を明かさぬ空気があった。しかし、「自分たちさえ強くなれたら」の考えは、次第に変化していく。
それぞれの持つアイデアや思いをシェアすることで、各指導者自身が成長。それが選手と地域の強化、普及につながり、結果、日本ラグビーの上昇を呼ぶと気づいた。
ただ、簡単ではなかった。
大人の学びは「痛み」をともなうからだ。
学びとは成長。それまでの自分とは変わらないといけない。長く信じてきたことを否定されることだってある。
しかし大きな目標を掲げることで、一人ひとりは痛みを受け入れ、変化を求めた。「海外のユース代表に勝つ」という目標をみんなで成し遂げるためだ。
中竹CDは「Moon Shot」という言葉を口にした。
「アメリカの元大統領、ジョン・F・ケネディは在任期間中、『1960年代のうちに月面に人類を着陸させ、無事に帰還させる』と目標を立て、それは実際に1969年に実現しました。まず、成し遂げればインパクトの大きな目標を立てる。それを実現させるためには、さまざまな変化や挑戦をしないといけない」
同CDは、自分たちの「Moon Shot」を『ヨーロッパ6か国すべてのU19代表に勝つこと』と定める。
そこへ向かう途中、多くの指導者たちが「コーチが変われば選手とチームは変わる」の信念を持って行動した。「自ら考え、成長し続けるコーチ文化の形成」を理念に掲げて前進した結果、その熱は結果につながる。
「以前はひとつ年下で組んだチームしか出してこなかったヨーロッパ各国が、(日本の進化を見て)いまは同い年の代表チームをちゃんと出してれるようになった」(中竹CD)
10年のうちに、着実に「月」に近づいた。
今回のテーマは『CONNECT過去-現在-未来』、『温故知新』だった。
過去のキャンプに参加してきたコーチたちも駆けつけ、話すことで、この10年間がつながる。それぞれのやったこと、思いが融合された
各ブロックからの報告の途中、競技人口減少の実態について多くの意見が飛び交う時間もあった。大きな目標の達成も、目の前の一歩が原点とよくわかった。