日本代表候補にあたるウルフパックで、新たなチャレンジをしているのが中島イシレリ。
トンガ出身の29歳で、身長186センチ、体重125キロと堂々たる体格を誇る。
昨季まではLOやNO8として突破力を披露していたが、ワールドカップイヤーの今年からスクラム最前列の左PRに転向。所属する神戸製鋼のカップ戦でも新たな働き場でプレーしていた。
4月20日、千葉・ゼットエーオリプリスタジアム。ウルフパックの背番号1をつけ、若手選手の多いハリケーンズBに66-21で勝った。攻めては接点周辺でのユニットに入り、得意のラン、オフロードパスを披露する。
スクラムの機会でも、首尾よく自軍ボールを確保。隣のHOに入った堀江翔太からも、好感触だと伝えられた。
「緊張したけど、まぁ、やることはできた」
2月からのワールドカップトレーニングスコッドキャンプでは、長谷川慎スクラムコーチのもと8人一体型のシステムを体得。このチームで左PRを経験したのはこの日が2度目で、これから徐々にキャリアを積み上げたいところ。チームとしてのスクラム練習を重ねた相手との駆け引き、手練れのPRによる揺さぶりなど、今後起こり得るさまざまなハードルをどう乗り越えるか。まずはこの日を無事に乗り越えたことを、前向きに捉える。
「慎さんの言う通り、皆、フロントローでコミュニケーションを取って、1人じゃなく全員で押す。皆、お互いを助け合って。練習通りにできたかなと思います。(キャンプ中は)覚えることがたくさんあってめちゃ大変だったけど、ちょっと(成長)できた」
隣のHOと密着しながら後方からのパワーを相手に伝えるのがスクラム時の両PRの役割。経験値がものをいうポジションに転向したての中島は、稲垣啓太、三上正貴といったワールドカップ経験者、スクラムワークの得意な山本幸輝らと定位置争いを繰り広げる。