ワールドラグビー女子セブンズシリーズ、2019北九州大会で栄冠に輝いたのはカナダだった。
福岡県のミクニワールドスタジアム北九州で4月20、21日に開催され、カナダはカップトーナメントでロシア、アメリカに競り勝って決勝に進み、イングランドと北九州セブンズ初優勝をかけたファイナルでは、5点ビハインドのラストアタックで辛抱強くボールをつないでトライを奪い、劇的な逆転勝ちで優勝した。
カナダがワールドシリーズでカップを獲得したのは2017年のシドニー大会以来。
今季開幕から3大会連続で優勝していたニュージーランドは、ポーシャ・ウッドマン、ケリー・ブレイジアー、ミカエラ・ブライドといったスター選手が怪我や病気により不在で、準々決勝でアメリカに敗退。お気に入りの北九州セブンズで大会3連覇はならなかった。
北九州を制したカナダは総合ランキング2位に浮上し、トップのニュージーランドとは6ポイント差となり、残り2大会で初の総合優勝を狙う。
「ベストのパフォーマンスを出せたと思う。決勝は攻撃面で苦労したが、ディフェンスはうまくいった」
身長2メートル超の元カナダ代表ロック、ジョン・テイト ヘッドコーチはそう言って笑った。
決勝のドラマはブザーが鳴ったあとだった。カナダは自陣深くから攻め上がり、イングランドの反則もあって怒涛の猛攻。最後にパスが乱れ、ブリタニー・ベンが触ってボールは転がったが、ノックオンの笛は鳴らず、それを拾ったキャプテンのジスレーヌ・ランドリーが空いたスペースを突いてゴール中央に持ち込み、コンバージョンキックも決まって逆転劇となった。
「信じていた」。最後のプレーを指揮官は振り返る。「奪ったボールを逃さずに攻撃を続けていったことで最後にギャップができてゴールに持ち込むことができた。毎日あのような練習を積み重ねた成果が出たと思う。ボールを手にした回数は少なかったが、最後の1回だけが得点につなげることができた」
値千金のトライを挙げたランドリー主将も、「時間がだんだん無くなっていたが、ボールを取れば勝てるという自信はあった」と語り、最後まであきらめず粘り強くつないでチーム全員の努力が実ったことを喜んだ。
カナダは2年前に北九州セブンズ決勝でニュージーランドに敗れ、昨年は同大会でワースト2の11位に終わるなど低迷した時期もあった。2016リオオリンピックのメンバーから6人が入れ替わったが、長年積み重ねてきた強化の成果が表れだし、東京オリンピックでの金メダル獲得へ向けて弾みがつく。
ランドリー主将は北九州大会を盛り上げた観客の応援も力になったと感謝し、「オリンピック開催国の日本で勝てたことは、選手たちにも良い気持ちが生まれたと思う」と話してニッコリ笑った。