ラグビーリパブリック

サンウルブズ、離脱決定後初の国内ホームゲームを落とした背景。

2019.04.21

ゴール前でボールを失い得点チャンスを逃したサンウルブズ(撮影:松本かおり)

<2019 スーパーラグビー 第10節>
サンウルブズ 23-29 ハリケーンズ
(4月19日/東京・秩父宮ラグビー場)

 後半無得点で逆転負け。2020年限りでリーグから外されるサンウルブズのトニー・ブラウン ヘッドコーチ(HC)は、「プレッシャーへの対処法」を問われて自嘲気味に笑う。
「あと5年、スーパーラグビーでプレーできれば」

 優勝経験のあるハリケーンズはこの日、失敗を繰り返した。対するサンウルブズは、相手の飛び出す防御の裏へパスを通すなどし躍動。この日NO8からCTBに転じたラーボニ・ウォーレンボスアヤコは笑う。
「常にハードキャリーでゲインラインを取りにゆく。その結果、(パスが防御の裏に)つながった」

 もっとも後味は甘くなかった。16点リードで迎えたハーフタイムの直前、自陣の接点で寝たまま球を手放せずにノット・リリース・ザ・ボールの反則を犯し23-10と詰められる。
 そもそもチームは、序盤から同種のペナルティを繰り返していた。対するハリケーンズの地上戦の巧みさに、サンウルブズのLOのトンプソン ルークは天を仰いだ。
「私たちのクリーンアウト(味方の援護)が少し、遅い。あと、相手のタックラーとその横の選手が(自軍を)邪魔する。アジャストしないといけなかった」

 さらに後半は、サンウルブズは貴重な戦力を欠く。肉弾戦時の判断力やリーダーシップで光ったゲーム主将のFLダン・プライアーが、交代を余儀なくされたのだ。

 対するハリケーンズは引き続きエラーを重ねたが、要所で防御の裏へ好キック。サンウルブズのSHとして途中出場の田中史朗は、じりじりと迫られた折の違和感を語る。
「いつも通りのことをすれば焦りはなかったと思うんですが、違うことをしよう……となった。チェイスの(自軍のキックを追う)時も違うことをして、それを相手が突いてきた」

 サンウルブズの足元はぐらつく。急造CTBのウォーレンボスアヤコは、自陣からのキックを失敗してピンチを拡大。WTBのゲラード・ファンデンヒーファーがキックチャージされて23-22と迫られたのは後半20分のことだった。

 勝ち越されたのは28分で、きっかけはスクラムとラインアウトでのエラーだった。
 まず敵陣中央でのスクラムで相手の反則を誘ったかと思いきや、次の1本で押し返される。先頭のHOに入った坂手淳史が地面のボールをかき出そうとしたところ、姿勢が浮き上がったためバランスを崩したのだ。
 直後にハリケーンズのラフプレーがあったため敵陣深い位置でラインアウトを得たが、今度はそのラインアウトで伝達ミス。本来飛ぶはずだったFLベン・ガンターは「コールのミスがあった。混乱が起きていた」とその場にとどまり、こぼれ球を拾ったハリケーンズはスペースにパスをつなぎ一気にトライラインを陥れた。

 かくしてサンウルブズは7敗目。ラインアウト投球役の坂手はこうだ。
「(事前に)『このオプションをしよう』と話していて(伝達を)間違えることはないと思ったのですが……。選手交代で練習と違う選手が入った時、細かい動きは合わせ切れていないところも。改善していきたいです」

 格上から奪った僅差リードを守り切るには、この日のような失敗を糧にしたいとブラウンHCは考える。その機会は間もなく、断ち切られる。

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