ラグビーリパブリック

東海大大阪仰星の湯浅大智監督は、「ラグビーを知らなすぎます」と落ち込んだ。

2019.04.10

御所実との準々決勝、モールで押す東海大大阪仰星(撮影:長岡洋幸)

 東海大大阪仰星の湯浅大智監督は、厳しい口調で言った。

「ラグビー知らなさすぎます。ありえないことしか、していないです。でも、それを教えているのはお前だと言われたらそう。それも受け止めます。ラグビーを勉強していない。24時間のうち、ラグビーに使わなあかん時間を他に使っているんじゃないですかね……」

 4月4日、埼玉・熊谷ラグビー場のBグラウンド。全国高校選抜大会の決勝トーナメント初戦で、御所実に14-26で敗れた直後だった。両校のこれまでの今季戦績は1勝1敗。接戦必至のゲームで競り負けた要因に、指揮官は競技理解度を挙げた。

 広いスペースで走らせたい選手を、数的優位の作りにくいスクラムからの1次攻撃で走らせようとしたこと。キックオフで敵陣の深い位置へ入りながら、陣地を取り合う途中で不用意にボールを持ち込みペナライズされたこと。向こうの防御が分厚いエリアに球を振ったこと。チーム全体のプレー選択の判断には課題ありと見たようだ。

「きょうは60分が『100』だとしたら、まず『49』ずつを分け合うような相手。残りの『2』をどう取るかという試合だ。自分たちがその『2』を、あげました。本当に、もったいないと思います」

 チームはグラウンドをサッカー部と半分ずつ分け合い、中等部と一緒に練習する。専用グラウンドで汗を流せる他の強豪校と比べ、練習設計の工夫が求められるのは確か。

「そこで(試合勘を)つかませるために(攻める)方向や(使用する)グラウンドの幅を変えたりと工夫しています。練習で(実戦と同じようなスペース感覚を)つかめる子が多い時、つかみどころをこちらがうまく落とし込めた時は、ズバズバーっと(試合を支配できる)というのがあるんですが……」

 全国高校ラグビー大会では前々回に日本一となりながら、前回は出場すら叶わなかった。現存部員の経験値を踏まえ、2019年度の最適解を探すほかない。

「こういう(競った)ゲームを経験するしかないですね。ブレイクダウン(接点)をドミネート(圧倒)してしまうと、そうした駆け引きはなくなってしまいます。ですので、チーム内の練習だと(レギュラー対控えとの接点での優劣などが)見えてしまう。だから全然違うスタイルのチームと公式戦をする。公式戦で、勝つしかない。そこでの経験が負けたくない、うまくならなあかんという欲、野心につながる。ファーストジャージィを着て戦うって、意味があるんですよ」

 取材の途中、視線に入った中心選手に具体的なだめを出して奮起を促してもいた。以後はまず、4月からの大阪高校総合体育大会を見据える。

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