きたる世界的祭典を迎えるための、音楽による「前夜祭」。そんな一大イベントが晴れて産声を上げた。
ラグビーワールドカップ日本大会開幕まで180日、あと約半年という節目の日となった3月24日(土)、3組のミュージシャンと1体のマスコット、そして2名のラグビー選手たちによる音楽のラグビーイベント「Rugby Music Junction Vol.1」が開催され、会場はラグビーファンのみならず音楽ファンによって全席が埋め尽くされた。
ラグビーワールドカップ日本大会と来年以降に向けて、音楽からラグビーを盛り上げていこうという趣旨のもと東京・築地のブルームードで開催された今回のイベントは、歌手で女優の寺田有希さん、歌手の田中美里さん、大型バンドのカルナバケーションがそれぞれのオリジナルラグビーソングを披露。舞台転換の合間にはクボタスピアーズのFL稲橋良太選手(ジャパンラグビートップリーグ・リーダー会議代表)、NECグリーンロケッツのHO川村慎選手(日本ラグビーフットボール選手会・副代表理事)の両選手がラグビーにまつわるトークを展開し、終始笑顔と歓声に包まれたイベントとなった。
イベントのオープニングを飾ったのは寺田有希さん。全国各地で展開中の「ストリートラグビー」の公式応援ソング「さあ いこう」をはじめとする5曲で、トップバッターとして最初に会場を盛り上げた。
稲橋、川村両選手による軽妙なトークコーナーを挟んで、府中市と調布市のラグビー応援アンバサダーを務めるラガマルくんが登場。主催者の一員であるカルナバケーションのボーカル村田匠さんが書き下ろしたテーマソング「ラガマルくんのうた」を初披露する。
再び2選手のトークを挟み、次は田中美里さんが登場。JSPORTSのラグビー中継のテーマソングとしておなじみ「Go Foward」やドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」など5曲を歌い上げ、場内のボルテージは一気に高まっていった。
そして、トリを務めたのは村田匠さん率いるカルナバケーション。「ワールド・イン・ユニオン」のインストバージョンに始まり、BS朝日「ラグビーウィークリー」のエンディング曲「だれも知らない」やトップリーグ試合終了後のテーマ曲「声あつめて」などの演奏で会場の盛り上がりは最高潮に達し、最後は出演者全員によるラグビーソングメドレーで3時間にわたる公演を締めくくった。
イベント終了後、選手ゲストの稲橋選手は「ラグビーファン以外の方々も巻き込む意味でも前向きなイベントだと感じました。こういう雰囲気でワールドカップやトップリーグの開幕を迎えられたらお客さんに喜んでいただけるのではないかと思います」とイベントの意義を語ると、川村選手も「ラグビーに音楽を取り入れた、音楽とスポーツとの親和性を示したイベントで楽しかったです。特にワールドカップ以降、どう国内リーグを盛り上げるのか、日本ラグビーがどこに向かうのかという意味では、音楽はすごく心強い味方です」と、イベントの効果や今後の可能性に言及した。
ラガマルくんのプロデューサーを務める今江正城さんは「残り半年、みんなで結束してどんどん盛り上げていきたいです。そういう意味でもすごくいいイベントでした。みんなでもっと『ONE TEAM』になってワールドカップ本番を迎えたいですね」と語ると、イベントのトップを飾った寺田さんも「みなさんに盛り上がっていただけて、そこに仲間入りできたことがうれしかったです。ラグビーに関して私は新参者ですが、もっといろいろな人がラグビーの楽しさに気付いてくれればいいと思っています」とラグビー人気向上への意気込みを語った。
田中さんは「思っていた以上に盛り上がり、ずっと熱量が下がらない、みなさんを休ませる暇がないというぐらいに楽しんでいただけた感触があったので、やってよかったなと思っています」と語り、主催者の中心的存在となった村田さんは「昨年から美里、有希ちゃんと計画し始めたのですが、我々はラグビーのイベントお呼ばれするケースが多かったので、その逆、つまり僕たちがホストとなって音楽側が提供するエンターテインメントをやろうということになりました。来てくださった方が楽しかったのであれば、新しいエンターテインメントを提供できたということだと思います」とたしかな手応えを口にした。
第2回以降の開催は現時点では未定だが、「もしラグビーのブームが落ち着いたとしても、その後も断続的に開催していきたいです」と語る村田さん。今回のイベントとは別に、全国各地でラグビーワールドカップ出場国の国歌を広めるプロジェクト「スクラムユニゾン」にも言及し、音楽を通じたラグビー普及活動を加速させていく予定だという。
ラグビー×音楽。「Rugby Music Junction」も含めた今後の展開が楽しみだ。
(文/齋藤龍太郎)