オーストラリアのパースで3月22日、「Global Rapid Rugby(グローバル ラピッド ラグビー)」が開幕した。この大会は、2017年8月にスーパーラグビーから除外されたウェスタン・フォースを支援する大富豪、アンドリュー・フォレスト氏によって発案され、2018年にエキシビションとして開催された「World Series Rugby(ワールド シリーズ ラグビー)」が発展したもの。アジア・太平洋地域でブランドを立ち上げ、今年は、パースを拠点とするフォースが、アジアシリーズでは、サウス・チャイナ・タイガース(香港)、アジア・パシフィック・ドラゴンズ(シンガポール)と、パシフィックシリーズではフィジー、サモアのチームと、それぞれホーム&アウェイ方式の総当たり戦をおこなう。
22日のオープニングゲームでは、フォースが招待チームの世界選抜(WORLD XV)と対戦し、26-16で勝った。
世界選抜を率いたのは、前身のワールドシリーズラグビーに参加したパナソニック ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督で、ワイルドナイツに所属する平野翔平、藤田慶和、福井翔大も出場。世界選抜にはほかに、サントリーサンゴリアスの小野晃征、清水建設ブルーシャークスの石田一貴も名を連ね、かつてフォースに在籍した人気者のニック・カミンズが久しぶりにパースに戻ってきたことでも注目され、1万1368人の観客が集まった。
スーパーラグビーでは、2020年シーズンを最後に日本チームのサンウルブズが除外されることが決まったが、オーストラリアやニュージーランドの一部メディアでは、この「グローバルラピッドラグビー」がサンウルブズの“ライフライン”になるのではないかと言われている。
スーパーラグビーを統括するSANZAARは、アジア・太平洋地域で下部大会を新設することを検討しているが、フォレスト氏もまた、将来的に、日本やハワイ、ニュージーランドからもチームを集め、さらには、中国、インド、UAE、マレーシア、スリランカ、韓国にも視野を広げている。
オーストラリア人ジャーナリストのバリー・ロス氏によれば、SANZAARやオーストラリアラグビー協会からフォレスト氏に協力する具体的な動きは未だなく、フォレスト側のスポークスマンは「グローバルラピッドラグビーはアジア版スーパーラグビー計画とは関係がなく、(手を組むという)報道は間違っている」と語ったという。
世界選抜を率いたディーンズ監督は、「サンウルブズはグローバルラピッドラグビーで復活すべき」と考えているようだ。日本のラグビー事情を知るディーンズ氏はフォースとの試合後、オーストラリアのメディアに対し、「彼ら(サンウルブズ)はそうしなければならない。日本はトップリーグと国際レベルの間で何かを必要としている…。うまくいけば、彼らは動くだろう」とコメントしている。