東京・秩父宮ラグビー場で今季ホーム初勝利を目指したサンウルブズだが、3月16日、スーパーラグビー優勝の歴史を持つレッズ相手に競ったものの、31-34で逆転負けした。今季これで1勝4敗。
昨年5月に同会場で、オーストラリア勢として初めてサンウルブズに敗れていたレッズは、リベンジを果たし、今季初勝利となった。
16点リードで折り返したが、勝てなかった。
「ハーフタイムにはリーダーを中心にコネクションが取れていい話ができたはずだが…。プレーに一貫性がないのが原因。選手が頑張っているのは見ている皆さんもわかると思うが、入らなくていいラックに入るなど、相手の圧力を受けるなかで判断が悪くなった」(サンウルブズ:スコット・ハンセン ヘッドコーチ代行)
前半はサンウルブズのペースだった。
12分、ハーフウェイからキャプテンのCTBマイケル・リトルが抜け出し、FLダン・プライアー、SHジェイミー・ブースとつなぎ先制トライを挙げた。
対するレッズは18分、ラインアウトからのローリングモールで押し切り、5点を奪い返す。
しかしサンウルブズは23分、カウンターで敵陣22メートルライン内に入り、右へ大きく展開してWTBゲラード・ファンデンヒーファーがディフェンダーをひきつけ、外でボールをもらったNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがゴールに持ち込んだ。
堅守が特長のレッズに対し、サンウルブズは37分、敵陣深くへ切り込んだWTBホセア・サウマキから、FBジェイソン・エメリー、FLプライアーとつなぎ、連続アタックを完成させた。精巧な左足を持つSOヘイデン・パーカーが厳しい角度からのコンバージョンも確実に決め、21-5で折り返した。
サンウルブズは後半、新メンバーとなったNO8アマナキ・レレイ・マフィなどを次々と投入してエナジーを追加する。
だが、先に勢いをつけたのは16点を追うレッズで、59分にパワープレーで得点すると、61分にも連続攻撃をPRハリー・フーパートがフィニッシュし、キックも決まって2点差となった。流れを変えたレッズは66分にもゴールに迫り、オーストラリア代表でもあるHOブランドン・パエンガ=アモサが突っ込んで逆転トライを挙げた。
「スタートがスローなのがうちの悪いくせ。今日もサンウルブズにエナジーを発揮させてしまい、受身に回った。後半は特に自分たちのフィジカリティを出せたのが良かった。(若い選手が多い)このメンバーで16点差から生き返ったことが素晴らしい」(レッズ:サム・ケレヴィ主将)
リスタートのキックオフでレッズに連係ミスがあり、敵陣深くに入ったサンウルブズはラインアウトからの攻撃でゴールに迫り、交代で入ったばかりのSH内田啓介が間隙を突いてインゴールに押さえ、同点。SOパーカーがコンバージョンを決め、再びリードした。
パーカーは73分にもPGで加点し、5点差となる。
しかし75分、自陣深くで内田がキックをチャージされ、相手SHテイト・マクダーモットがトライを挙げ同点とした。
そして、課題となっていた規律は前節から改善されていたサンウルブズだが、78分に自陣で痛恨の反則を犯し、レッズのFBハミッシュ・スチュワートがPGを決め、これが決勝点となった。
「非常にハードな試合だった。前半はリズムが取れずどうなるのかと思った。サンウルブズは初めからプレッシャーをかけてきて、さすがだった。後半はうちがエナジーを取り戻し、いろんな要素が積み重なって非常に良いラグビーできた。きちっとボールを使って、走って。セットも良かった」
16点差をひっくり返したゲームを、レッズのブラッド・ソーン ヘッドコーチはそう振り返った。
「私たちがチームの文化として大事にしているのは『リセットできるんだ』と信じること。試合のいろいろな側面、ベーシックなことが、しっかりできればきっと立て直せると。強みであるセットピースで自信が持てれば問題ないと、ハーフタイムに話していた。結果的にディフェンスが改善されたのは、大きかった。後半、素晴らしい姿勢になった」
一方、サンウルブズのハンセン ヘッドコーチ代行は、課題の規律面について聞かれ、「レッズが勢いに乗り、非常にプレッシャーがかかってしまった。相手の要素が大きい」と話した。
FBエメリーは後半のチームの戦い方について「ミスタックルが増えてしまった。そこからやりたいことができなくなった。判断のミスでボール、地域を失った」と反省した。
サンウルブズは次週、準ホームのシンガポール・ナショナルスタジアムでライオンズ(南アフリカ)と対戦する。ハンセン ヘッドコーチ代行は、「もっと頭を使うこと、互いを信じてディテールを詰めることで良くなるはず」と、チームのさらなる成長を期待する。