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スーパーラグビーの将来は見えず。ワラターズCEOはサンウルブズ残留推し。

2019.03.13

ブルーズ戦(NZ・オークランド)での地元ファン。サンウルブズのプレースタイルを好むファンは多い。(写真/Getty Images)


 スーパーラグビーのファンは運営母体である『SANZAAR』による新たな大会形式の決定を心待ちにしている。
 各国ラグビー界の有力者、決定権を持つ者が、3月10日からヨーロッパで一連の話し合いの場を設けた。今回の『SANZAAR』による決断事項の中で多くの人が注目しているのは、2020年シーズン限りでサンウルブズがリーグからカットされるか否かだろう。

 今後のプランについて、正式なアナウンスの時期は発表されていない。
 しかし関係筋の一部は、早ければ3月14日か15日、他方で2週間以上経っての発表になると推測する者もいる。
『SANZAAR』は、ダブリンをはじめとするヨーロッパ各地で催されるいくつかの委員会のうちのひとつでしかない。ワールドラグビーが、他にも多くの議論対象事項を抱えているのは明白だ。

 サンウルブズのリーグ残留について、オーストラリアとニュージーランドは好意的だ。一方で、南アフリカは否定的。アルゼンチンの意向は明かされていない。
 南アフリカにとって気がかりなのは財政面だ。
 同国協会は現在、スーパーラグビーを通しての財政的強化が、自らが望んでいるほどの規模にないと感じている。そして、もしサンウルブズがスーパーラグビーから削減されれば、将来的に放映権の歳入が増えると見込む。
 現行の大会形式では、自国チームに大きな遠征負担がある。その点も解消したい。

 スーパーラグビーの放映権に関する各放送局からのSANZAARへの提示額は、今回のサンウルブズに関する決定に一定の影響を持つ。
 その観点から言えば、自国の放送局『Supersport』が高額放映料を払っている南アフリカは有利な立場に立っていると言える。
 一方オーストラリアは事情が違う。国内には、安定したサポーターの基盤を持つ4つのフットボールがある。そのため同国の放送局である『Foxtel』は、ラグビー以外にもオーストラリアンフットボールや13人制のラグビー・リーグにも同様の放映料支払いがある。それらの背景からスーパーラグビーの放映料に関して、他国より多くの額を提示する状況にはない。


 3月12日の朝、ワラターズのアンドリュー・ホアCEOは、サンウルブズのスーパーラグビー残留を強く支持する姿勢を表明した。
 同CEOはサンウルブズが過去3シーズンと比べて健闘している事実を示し、もし除外されてしまうえばオーストラリアラグビーは将来的に多くのビジネスチャンスを失ってしまうと強調する。
 また、ローカルな大会に過ぎないオーストラリアンフットボールやラグビー・リーグと違い、スーパーラグビーはグローバルな大会であることも重要とし、「サンウルブズのコーチ陣は今年、素晴らしい働きをしている」と言った。

 1991年のワールドカップで豪州代表を優勝に導いた当時の監督、ボブ・ドゥワイヤー氏もサンウルブズの残留を望んでいる。
「運営組織はサンウルブズがスーパーラグビーレベルのラグビーを確立させるまで忍耐強く時間を与えなければならない。今年の彼らは魅力的なスタイルでプレーしていて観ていて楽しい。最近のチーフス戦は特に素晴らしかった」
 ワラターズがダイキンやNECとの間に契約があるように、日本企業とのコマーシャル契約があるオーストラリアの4チームはすべて、すでに同国協会のレイリーン・キャッスルCEOに、サンウルブズの存続を支持する旨を伝えている。

 ヨーロッパでミーティングを行うSANZAARの運営は以下の役員で構成されている。また、ミーティングには各放送局の代表も出席していたとみられている。

ブレント・インペイ (NZ協会会長)
スティーブ・テュー (NZ協会CEO)
マーク・アレクサンダー (南アフリカ協会会長)
ジュリー・ルー (南アフリカ協会CEO)
キャメロン・クライン (オーストラリア協会会長)
ライリーン・キャッスル (オーストラリア協会CEO)
カルロス・アラウホ (アルゼンチン協会会長)
アグスティン・ピチョット (アルゼンチン協会取締役)

 シドニーにベースを置くSANZAARの運営は、アンディー・マリノスCEOの指揮のもとにある。
 マリノスCEOはジンバブエのハラレ生まれの46歳。南アフリカ育ちだが、ウエールズ代表として8キャップを数える(2002年~2003年)。
 オースラリアのNRL(13人制ラグビー・リーグ)で1996年に1試合出場したキャリアも持っている。

(文/バリー・ロス)

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