日本代表候補が集まるラグビーワールドカップトレーニングスコッド(RWCTS)キャンプは、3月7日、千葉・NTTコミュニケーションズ アークス浦安パークでの第5クールが終わり、3月10~20日は沖縄・残波岬ボールパークでの第6クールがある。ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が取材に応じた。
「すごくいいですね。ハードなトレーニングで負担が大きくなり怪我人が出てしまった点はネガティブですが、それ以外はいい」
RWCTSキャンプはまず、2月4日からの約4週間、東京・キヤノンスポーツパークで実施された。基本スキルの涵養(かんよう)と体力強化が主眼に置かれるなか、ジョセフHCが途中合流した同月中旬から練習強度が一気に増した。
2016年秋に就任のジョセフHCの「怪我人が出てしまった点はネガティブ」の、それが背景だったか。もっとも当の本人は、「卵は割らなければオムレツは作れない」。この時期にリスクを背負って追い込むことは不可欠だったとし、自身が合流を遅らせたことについてもこう説明した。
「(笑いながら)最初、私が不在だったことも、ある意味、大事だったと思っています。徐々にシーズンへ入っていける環境を作れた。当初からその予定でした。(不在の間)違うリーダーシップを発揮してもらったり、チームを引っ張ってもらったりする意図がありました。ヘッドコーチが不在のなか、選手たちもやりやすく感じていたと思います。コーチ陣としては、そういうなかで誰がどんなリーダーシップを取れるのかを見極めるいい機会でした」
9月開幕のワールドカップ日本大会に向け、「ティア1(強豪国)と対戦するうえではあと40パーセントの改善ポイントがある。スペシャルプレーで挽回するのではなく、いろいろな細かいことを揃えて(理想との)差を埋める」。これまでとこれからについて、こうも続ける。
「最初の3週間はコンディショニングとスキルにフォーカス。ここ最近はセットプレー、アンストラクチャーからのアタック、ディフェンスを導入しました。沖縄からはセットプレーからの攻防…。これで何週間かのハードトレーニングを重ねてきた。就任以来初の試みです。これまではハードワークをして、スキルもおこないました。それらが実戦形式のなかでどう出るか(がポイント)です」
第5クールでは、昨年ニュージーランドで暴行事件を起こしたアマナキ・レレイ・マフィを「ベストプレーヤー。問題はありますが、それは別の人たちの話」として復帰させる。主将経験がありながら昨秋のツアーメンバーから外れた立川理道も、「怪我人が出たので」と練習生として招集した。
おもな日本代表候補勢は現在、サンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに参加)とRWCTSキャンプのふた手に分かれて活動中だ。RWCTSキャンプ組は3月下旬以降、現在のサンウルブズ組と一部メンバーを入れ替えるなどして「ウルフパック」を編成。スーパーラグビー参加クラブの若手勢と、強化試合をおこなう。
ジョセフHCは言う。
「ここから強度を上げて、ラグビー(実戦練習)を導入して、サンウルブズから戻る選手やここに残る選手、堀川(隆延)さん、長谷川(慎)さん(以上コーチ)でチームを作っていきます。(サンウルブズ組を含め)60名くらいの選手を吟味できています。いいゲームをして層を厚くして、ポジション争いを健全に作り上げていけたら」