ラグビーリパブリック

【ラグリパWest】お酒の話。

2019.03.06

ラグビーとお酒は相性がいい。


 切り離せへんね。
 ラグビーとお酒って。

 みなさん、飲んでまっか?
 弥生・3月・春とは言え、まだまだ寒い日は続く。熱燗やホットが効くねえ。日本酒、焼酎、ウイスキー、どれもよろしいな。
 もうすぐ薄桃色のお花見やし。

 大八木淳史はんやろなあ。
 楕円球界で酒豪と言えば。現役では大野のキンちゃんもすごいらしいけど。
 あっ、新旧ジャパンのリアル・ロック。先輩は神戸製鋼の7連覇にも貢献や。

 大八木はん、ひと晩にひとりで最高でどれくらいいただきはった? お店のお酒を全部たいらげた武勇伝をお持ちやそうやけど…。
「うーん、そんな話もあるけど、ならしたらビールをワンケースくらいかな。中ビンやで」
 えーっと500ミリリットル×20本=10リットル。えーっ、10リットルって…。そら、現役時代は190センチ、100キロの体やったけど、それにしてもすごいなあ。

 夕方から次の朝まで、エンドレスで飲んだことも数えきれん。
「今でも覚えているのは、オールブラックスと試合をした時のことやね」
 日本代表が初めてニュージーランド(NZ)代表と戦ったのは1987年やった。
 第1戦は大阪・花園で0-74、第2戦は現在建て替え中の国立競技場で4-106。
 ああ、当時トライは4点ね。

 第2戦は11月1日。最終的にキャップを30に積み上げる大八木はんはもち先発や。
 試合後、黒衣軍団のホテルに呼ばれた。大八木はんは同志社大時代にNZ留学する。所属したカンタベリー大学クラブでは、来日したセンターのワーウィック・テーラーはんらとチームメイト。知己が多かった。

 ホテルのバーでの飲みはドレスコードあり。
「古代ローマ人の格好をして来いって」
 向こうの人はそんなんが好きやね。
 ほんで、どないしましてん?
「ベッドの白いシーツを長細く巻いて、片方の肩で縛る。下は広げるねん。ほんでパンツをはくんや」
 なるほど、あと葉っぱの鉢巻きをしたら、ワイらが想像している感じになるなあ。
「ようあんな格好で飲ましてくれたわ。ええ時代やったなあ、って思うよ」

 夜中までバーでグラスを交わして、その後は西麻布の知り合いの店に行った。
「みんな、朝にタクシーで帰ったわ」
 一日中、世界最強のブラックスたちと渡り合った大八木はん。試合は大差負けやったけど、アルコールでは一歩も引かんかった。日本のプライドを守ってくれて、おおきに。
 お酒は国際交流の武器にもなるんやな。


 大八木はんが飲む理由は?
「そら、うまいもん。勝っても、負けても、汗を流したあとの一杯は格別や」
 試合でのどをカラカラにさせておく。そこにすーっと黄色の液体がしみ込んで行く。
「男たちが、プライドをかけて戦ったあとやろ? まずは試合を回想する。そうしたら、心地よい疲れがどっとくる。その後は現実の世界に戻らんといかん。その前のちょうどええ緩衝地帯になるんや」

 なるほど、サラリーマンなんかも一緒やね。
 仕事を終えて、家庭に帰る。そこの切り替えのところにお酒はある。
 せやけど、一杯だけやなくて、みんなずーっと飲み続けてますやん。
「あとは惰性や」

 ラグビーには「バッファロー」っちゅう罰則がある。右手でグラスを持ったらあかんねん。イッキの対象や。
 新しい知り合いと握手をするため、右手は濡らさない、という説もある。
「気を抜かんと集中して飲め、ってことやろ」
 大八木はんは、にんまりした。

 ワイは名言を知っている。
「人の心にはウソがある。酒の心にはウソがない」
 酔うとふわーって、いい気持ちになるやん。なんか、たまっていたことを口にしてしまうやん。それが本心や、ということや。
 だから、酒席は大事なんや。みんなの本音が出る。距離がぐっと縮まる。

 中島茂はんや。教えてくれはったのは。
 近畿大のラグビー部総監督。仕事は5000人からなる一大教育グループの理事をしてはる。10人ほどのトップのひとりやな。
 この言葉を胸に刻んで、生きてきて、今があるんやで。

 ワイのおやじは酒飲みやった。
 多少、酒乱の気があってな。酔うと怒鳴ったりしてた。それが反面教師になって、昔はほとんどアルコールを摂らんかった。

 佐光義昭先生に言われたことがある。
「おまえはどうして一升瓶をドンと置いて、『おやじ、今日はやろう』と言えないんだ?」
 普段は意見がましいことを口にしなかった恩師の言葉は、耳に残っている。

 おやじは定年退職したあと、酒でとり乱すことはなくなった。これまでの人生や仕事のストレスやったんやろなあ。
 今は、人間は飲まなやってられへんことがある、というのが少しはわかるようになった。

 おやじは先年他界した。結局、親子で酒を酌み交わすことは一度もなかった。
 若い人ら、後悔せんようにな。

 あっ、せやけどハタチを過ぎんと飲酒はダメよダメダメよ。
<未成年でも大学生なら大人に扱われ、どんな店でも飲ませてくれた>
 藤島大はんが『北風 小説 早稲田大学ラグビー部』の中に書いているのは、さかのぼること40年前くらいの話やからね。
 強制はあきません。暴れたり、暴言を吐くのももってのほか。適量を守って楽しくやりまひょ。お酒は人生の潤滑油やさかい。