リーチ マイケル主将は「ナキが入ってきて、練習のコンタクト(の激しさ)がかなり上がりました」と喜び、話題の主は「アピール(する)しかないですね」と応じた。
3月4日、千葉・NTTコミュニケーションズ アークス浦安パーク。ラグビーワールドカップ日本大会の開幕を200日後に控え、日本代表候補が集まるラグビーワールドカップトレーニングスコッド(RWCTS)キャンプが第5クールの初日を迎えた。ファンや報道陣が注目したのは、この日から合流した「ナキ」ことアマナキ・レレイ・マフィだ。
これまで22キャップ(代表戦出場数)を獲得した身長189センチ、体重112キロの29歳は、昨年7月にニュージーランドで、当時所属していたレベルズ(オーストラリア)のチームメイトに暴行。被害者とされるロペティ・ティマニとの和解には至らず、司法手続きは長期化していた。マフィの代表復帰に関し、かねてより「司法判断を待つ」としていた日本協会は、本人の反省が伺えることなどを鑑みてこの日からの練習参加を許した。
この日のマフィは、自身の国内本拠地でもあるグラウンドで得意のランやタックルを連発する。実戦練習のさなかにマフィが防御を破るや、同じFW第3列で相手役のピーター“ラピース”・ラブスカフニがマフィの持つボールへしぶとく絡む。セッションの激しさは増した。
リーチが「彼は代表のビースト。ボールを持つと勢いをつけられるし、世界に対してインパクトをもたらせる。彼が入ることで練習のスタンダードが上がった」と前向きに話すなか、当の本人は控えめだった。
「まず、皆に心配をかけて本当にすみません。久しぶりに皆と一緒に練習して、すごい、疲れましたね。厳しい(トレーニングだった)。だけど、楽しめました。楽しかったです。レベルアップして、これからももっとメンタルをしっかり100パーセントの準備を(したい)」
好調ぶりについて聞かれると「自分はまだまだですね」とし、リーチら他選手との定位置争いについて「自分のフォーカスは自分(に向けて)です。相手(周囲の選手)も自分のことにフォーカスしている」と続けた。
「自分のできない部分、何が足りないかを(見つけて)やり直していきたいです」
ワールドカップに向けたおもな日本代表候補は現在、サンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに参加)とRWCTSキャンプのふた手に分かれて活動している。
RWCTSキャンプ組は3月下旬以降、現在のサンウルブズ組を含めるなどの形で「ウルフパック」を編成。スーパーラグビー参加クラブの若手グループと対外試合をおこなう予定だ。
実戦復帰したいかと問われたマフィは、「それは監督たちの判断。でも、自分は試合に出たいです。チャンスをもらえたらがんばります」と笑う。RWCTSキャンプは7日まで第5クールが続き、3月10~20日には沖縄・残波岬ボールパークで第6クールがおこなわれる。