ラグビーリパブリック

雨中の熱戦制し、日体大が2年続けて女子日本一! セブンズとの2冠獲得。

2019.03.04

思うようなアタックはできなかったが、日体大は積極的に前に出て勝機をつかんだ。(撮影/松本かおり)

精鋭揃うチャンピオン。クラブ内の競争も高まる。(撮影/松本かおり)



 空からだけでなく、ピッチにはタックルの雨が降り続けた。
 3月3日、小田原市城山陸上競技場で開催された第5回全国女子ラグビー選手権大会(15人制)の決勝(会長杯)は8-7。日体大女子ラグビー部女子が、Pearls(三重)を主体とした「Blue Peaglets」(先発15人中14人がPearls)に競り勝った。

 関東王者の勝者も、一歩届かなかった関西王者も、互いに譲らなかった80分。雨の中で思うようなアタックはできなかった。ミスも出た。しかし、両軍の選手たちが繰り出すタックルが試合を引き締めた。

 前半はPGを決めた日体大が3-0とリード。
 後半6分にはサインプレーで攻め入った後の攻防で、キックカウンターからFB庵奥里愛が左中間に飛び込んで8-0と差を広げた。

 追うBlue Peagletsは後半25分に細かなパスをつないで攻め入り、最後はNO8齊藤聖奈主将のトライ、HO谷口琴美のコンバージョンキックで1点差に迫った。
 残り1分。Blue Peagletsは22メートルラインの少し外、右15メートルラインあたりでPG機を得る。しかしそれは外れ、日体大が太陽生命ウィメンズセブンズシリーズとの2冠を手にした。

 決まれば土壇場で逆転されていたPG機を古賀千尋ヘッドコーチが「モールで攻められていたらやられていたかも」と振り返ったように、勝者はスクラムとFW戦で押されるも、体を張って勝利を引き寄せた。



 司令塔として冷静にチームをコントロールした山本実主将が言う。
「(天候の影響で)自分たちのアタックは思うようにできませんでしたが、こだわってきたディフェンスは出せた。勝ち切れて嬉しい」

 途中からNO8の位置に入って積極的に前に出た1年生のPR細川恭子、何度も防御を崩したFB庵奥ら、この試合に選ばれたMVPたちだけでなく、FL柏木那月の激しさ、小林花奈子、古屋みず希(ともにCTB)らの動きも光った。

 Blue Peagletsは勝利に届かなかったけれど立派に戦った。
 チームの骨格を成すPearlsの選手たちは、2018年度の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズでは一度も日体大に負けていない。ベテランのFB伊藤絵美は、「絶対にやれる。勝てる」と仲間たちを鼓舞して戦いに挑んだ。

 その伊藤は、このゲームを最後に現役を退くと決めていた。クラブの土台を築いた記虎敏和監督も、「基板は作れた」と、この日の指揮を区切りに退任する。
 チームは一丸となって、特にFWが力強く前に出てペースをつかむシーンもあった。
 しかし、日体大の激しく、粘り強い防御をどうしても攻略できなかった。

 会長杯の前には、3位決定戦、5位決定戦もおこなわれた。
 3位決定戦ではARUKAS・八戸・Artemi-Starsが34-0で名古屋レディースを破り、5位決定戦ではRKUラグビー龍ケ崎GRACEが大阪九州選抜に71-0と大勝した。

惜しくも2位の「Blue Peaglets」。Pearlsが中心。記虎敏和監督、現役引退の伊藤絵美を囲んで。
3位決定戦◎ARUKAS・八戸・Artemi-Stars 34-0 名古屋レディース(撮影/松本かおり)
5位決定戦◎RKUラグビー龍ケ崎GRACE 71-0 大阪九州選抜(撮影/松本かおり)