史上初めてのアウェー戦勝利に、オールドルーキーが貢献した。
3月2日、NZ・ハミルトン。サンウルブズは30-15とチーフスに完勝した。
37歳のLOトンプソン ルークに派手な活躍はなかった。しかし80分ピッチに立ち続け、チーム最多の20タックル。
いぶし銀の働きだった。
開幕から3戦続けて先発している。
10-45と大敗したシャークス戦を終えたときには、「怒っているよ。自分のプレーに」と話していた。後半10分にはピッチから退き、消化不良の表情だった。
しかし30-31と惜敗したワラターズ戦では73分ピッチに立った。試合後、「僕もチームもだいぶ良くなった」と笑顔を見せた。
チームが改善した理由をベテランは、「規律の部分を話し合ったことと、コミュニケーションが高まったことが大きかった」と振り返った。
「シャークスでは、大きな相手にセットプレーで圧力を受け、ブレイクダウンでサポートプレーヤーが遅かった。それらの課題を修正して、ワラターズ戦では勝てなかったけど、チームも自分も自信を持てた」
チームカルチャーも生まれつつある。
ワラターズ戦前に言っていた。
「シャークス戦を見て、奥さんに『(タックルなどで倒れた後)もっとはやく立ち上がって』と言われました。厳しいけど、いちばん正直ね」
サンウルブズに招集されたのは開幕戦の2週間ほど前。シーズンオフにはNZに戻り、牧場作業をしていた。
開幕時は他の選手より調整遅れが明らかだったが、急ピッチでその差を埋めつつある。
ティーンエイジャーの頃から夢見ていたスーパーラグビーの舞台。そこでプレーを重ねて思う。
「憧れの舞台だったけど、ここでプレーするだけでなく、活躍することが大事。そのためにやることはたくさんある」
周囲の選手たちより高い経験値を持つ者として、「みんなが熱くなりすぎているようだったら落ち着かせるのが仕事だし、疲れているようだったら、自分が余計に頑張る」と話す。その一方で、「まずは自分の仕事。それがいちばん大事」とベクトルを己に向けて日々を過ごす。
「いまはサンウルブズだけ」
その姿勢を貫く。
ただ、チーフス撃破のメンバーの中で、日本代表への選出資格を持つ者は限られている。4度目のワールドカップへと続く道の上を歩んでいる。