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サンウルブズ、強豪ワラターズ相手に健闘するも1点差惜敗。劇的DGとはならず。

2019.02.23

力走するサンウルブズのCTB中村亮土(撮影:松本かおり)

 2014年のチャンピオンで昨年はベスト4、今年もオーストラリア・カンファレンスの優勝候補であるワラターズを、日本チームのサンウルブズが苦しめた。しかし、勝てなかった。対戦した過去3試合すべて50点以上奪われ大敗した相手に挑み、奮闘したが、30-31で惜敗した。

 2019スーパーラグビーの国内開催初試合(第2節)。2月23日、東京・秩父宮ラグビー場には14,499人の観客が足を運んだ。

 サンウルブズは、先週シンガポールでおこなわれた開幕戦でシャークス(南アフリカ)に惨敗していたが、そのとき敗因となったスクラムは改善され、ディフェンスには粘りがあり、勝利へ向けてハングリーに牙をむいた。

「結果は残念だが、誇りを持てる試合。1週間、いい準備ができた結果だと思う。ファンの声援に押されて、いいディフェンスができた」(サンウルブズ:クレイグ・ミラー主将)

 サンウルブズは先に流れを引き寄せた。
 前半7分、インゴール隅に飛び込もうとしたワラターズのWTBカーティス・ロナに対し、WTBセミシ・マシレワがトライセービングタックルを決めた。

 するとその1分後、CTB中村亮土が自陣22メートルライン付近でインターセプトして大きくゲインし、サポートについていたWTBゲラード・ファンデンヒーファーにつないで先制トライを挙げた。

 リスタート後まもなく、ワラターズにトライを奪い返され同点となったが、サンウルブズは15分、20分と相手ボールのスクラムを圧倒し、チームは活気づいた。

 前半、自陣でプレーする時間が多かったサンウルブズは、がまんのディフェンスが続いた。
 先発にオーストラリア代表キャップ保持者を11人並べたワラターズは攻め続け、24分、29分とFBイズラエル・フォラウが連続トライを挙げてリードを奪った。

 それでもサンウルブズは、SOヘイデン・パーカーがPGで得点を重ねて食らいつき、38分に逆転する。目まぐるしい攻防のあと、ハーフウェイ手前でPKを得ると、SH茂野海人がクイックタップから仕掛け、WTBファンデンヒーファーの力走で敵陣22メートルライン内に入り、テンポよく展開、CTB中村からオフロードパスをもらったLOトム・ロウが抜け、逆転トライを決めた。ニュージーランド出身のロウは6年前にバスケットボールからラグビーに転向した異色の選手で、サンウルブズの5番をつけて臨んだこの試合がスーパーラグビーデビュー戦だった。

 20-17で折り返したサンウルブズは後半早々、PGで3点を追加し、6点リードとする。

 しかし48分(後半8分)、ワラターズはラインアウトスチールからの連続攻撃でゴールに迫り、サンウルブズは粘り強く守っていたが、スカイブルーのNO8ジャック・デンプシーがフィニッシュ。SOバーナード・フォーリーがコンバージョンキックを決め、逆転した。

 ワラターズはさらに61分、ラインアウトからモールでゴールに迫ると、サンウルブズが故意に崩す反則を犯し、レフリーはペナルティトライを宣告した。LOトンプソン ルークにイエローカードが出され、サンウルブズは14人となる。

 それでも、数的不利を感じさせないほどサンウルブズは果敢で、70分、敵陣10メートルライン付近のスクラムから展開すると、SOパーカーからリターンパスをもらったWTBファンデンヒーファーがギャップを抜け、ゴールへ走り切った。コンバージョン成功で1点差に詰めた。

 秩父宮ラグビー場のボルテージが上がるなか、77分、サンウルブズはFWが敵陣22メートルライン内のブレイクダウンで激しくファイトし、ボールを奪い返した。
 そして78分、ラインアウトからの攻撃へと移り、ゴールに迫り、SH内田啓介からポスト正面でボールをもらったSOパーカーがドロップゴールを狙った。が、失敗。ワラターズはCTBカーマイケル・ハントがプレッシャーをかけに行き、劇的なドラマとはさせなかった。

 サンウルブズは健闘したものの、1点差で金星には届かなかった。

 接戦をものにしたワラターズのダリル・ギブソン ヘッドコーチは、「このようなエキサイティングなゲームに勝って終われてよかった。ポジティブなところがあった一方で予想と違うことも起きた。ターンオーバーなどを多く許してしまい残念だった」とゲームを振り返った。
 キャプテンのマイケル・フーパーは、「ランニングゲームの様相が多く、プレッシャーを受けた。しかし、最後はハードにプレーして勝てた。スクラムも後半改善できた」とコメントした。

 一方、サンウルブズのスコット・ハンセン ヘッドコーチ代行は、「勝つ準備をして、勝つ位置までいけたが、勝てなかった。結果は残念だが、誇りを持てる試合になった」と評価。改善できたスクラムについては、「シャークス戦で出た課題を直して対応できた。大切のはひとりで組むのでなく、8人で組むこと」と語った。

 開幕から2連敗となったサンウルブズは、次週からニュージーランド遠征となり、3月2日にハミルトンのFMGスタジアム・ワイカトでチーフスと対戦する。