2月4日に都内で本格始動したラグビーの日本代表候補合宿では、参加者が4つのグループに分かれている。
それぞれに「赤」「青」「黄」「緑」のTシャツが配られ、各組が練習中のアクティビティの順位やグラウンド外でごみを拾った回数などを競い合う。互いに切磋琢磨しながら、チーム文化の礎を作る。
「青」で際立つのは、ピーター“ラピース”・ラブスカフニのリーダーシップだ。
合宿でよくおこなわれるのは、「ゲーム形式アクティビティ」だ。各組の選手が持久走、ローイング、バイクなど、日によって異なるいくつかのメニューを分担して競争。色別対抗の運動会にも似た、タフなセッションだ。
この「ゲーム形式アクティビティ」の前には各組が三々五々、作戦会議をおこなう。ここでよく発言するのが、ラブスカフニのようだ。同じ「青」の山中亮平が言う。
「作戦を立てる時に『ここはこうやろう』など意見を言って、引っ張ってくれていると思います」
いざ「ゲーム形式アクティビティ」が始まれば、今度はその身体能力で周りを引っ張る。メディシンボールという重さのある球体を放り投げ、その飛距離を争う際は、持ち前の背筋力を披露する。長らく日本代表のリーダー陣の1人で「緑」に入る流大は、こう笑う。
「ラピースは常に活躍する。青チームから引き抜きたいですね」
南アフリカ出身のラブスカフニは身長189センチ、体重105キロの30歳。タックルと球への絡みが際立つFLだ。母国のチーターズ、ブルズのメンバーとして国際リーグのスーパーラグビーを経験し、2016年には日本のクボタへ加入した。昨年のスーパーラグビーでは、日本のサンウルブズの一員として活動した。
日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは昨季、サンウルブズの指揮官を兼務した。リーダーシップのあるタフガイを買うのは自然な流れで、昨年5月から3度にわたりリリースされるラグビーワールドカップトレーニングスコッド(RWCTS)のリストに、ラブスカフニは常に名を連ねる。
20歳以下南アフリカ代表への選出、南アフリカ代表のツアーメンバー入りの経験を持つ。代表戦にあたるテストマッチは未経験だが、「国内連続居住3年以上」「他国代表経験なし」などの日本代表入りへの資格をクリアできるかは未知数とされている。
もっとも今回のキャンプ中、本人は「南アフリカ協会には(日本代表でプレーしてもよいと)合意のサインをしてもらった」と証言する。クボタ入り後の期間すべてが「国内連続居住3年以上」にカウントされれば、ラブスカフニは今年7月から日本代表のセレクション対象となる模様。「青」のリーダーはジャパン入りへ一歩前進したとも見られる。
キャンプ序盤はけがの治療のため一部別メニュー調整も、「それほど深刻な状況ではありません」。今秋開幕のワールドカップ日本大会で、赤と白のジャージィに袖を通したい。