前半を終えて10-24。30分過ぎまでは10-10と互角だった。
ただ、新調した真っ赤なジャージーの得点は、最後までそのまま動かなかった。
2月16日にシンガポールでおこなわれたサンウルブズの2019年シーズン開幕戦。シャークスとの一戦は10-45の完敗だった。
高速展開を試みればミスが出た。ディフェンスは統制が取れず、反則を繰り返す。圧倒したのは反則数だけだった(17-8)。
PGで先制されたサンウルブズは、9分過ぎにスクラムでFKを得ると、速攻を仕掛ける。SOヘイデン・パーカーが防御裏に蹴ったボールをCTBシェーン・ゲイツが追う。跳ねた楕円球は背番号13の手に入り、そのままトライラインを越える。コンバージョンも決まって7-3と逆転した。
14分過ぎには敵陣深くに攻め込んで得たラインアウトからモールで圧力をかけて反則を誘う。PGで加点して10-3とした。
リズムが崩れたのは、その直後だ。シャークスのキックオフを受けたサンウルブズは、NO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコが自陣でノット・リリース・ザ・ボールをとられてPKを渡す。その直後のラインアウトからモールを押し切られ、10-10とされた。
35分にはスクラムのコラプシングからPKで前へ出られ、ラインアウト後のモールでも反則。さらにラインアウト後に押し込まれ、FWにインゴールへ入られた。
38分もミスが始まりだった。ノックオン後のスクラムから鮮やかにサインプレーで走られ、嫌な空気で前半を終えた。
後半、巨大スタジアムは静まり返ったままだった。
ファンを盛り上げるための「アウォーン」の効果音より、サンウルブズに吹かれるホイッスルの方が多かったか。
ミスで試合がブツ切りになり、大きな相手を疲れさせるプランはまったく実現されなかった。
後半失ったのは3トライも、もっとやられた気分だった。
試合後、この試合の指揮を執ったスコット・ハンセン アシスタントコーチは、「実質、これが(今年のチームの)実戦初戦。選手はよく戦ったが、課題がたくさん出た。それを一つひとつ改善していくしかない。これが自分たちのいまの実力」と話した。
共同主将のひとりPRクレイグ・ミラーも、「スクラムがうまくいかなかった理由はたくさんあると感じた。80分の中で修正していかないといけなかった。この反省を次につなげていくしかない」と先を見た。
市原、別府、メルボルンと準備を重ねてきたが、その成果は、前半に時折見られたハードタックルぐらいだったか。フィジカルの強さをアピールできた選手は何人かいたが、アウトサイドの防御の乱れなど、コミュニケーション不足は明らかだ。
外国人選手が主体のシーズン前半戦。チームが目指すスタイルの完成形を示し、それをW杯へ向かうジャパンの成功につなげたいと首脳陣は考えている。
しかし開幕戦では、「やってはいけない」ことを示すだけの時間に終わってしまった。