再び旋風を ――。
関東大学リーグ戦1部に所属する日本大学ラグビー部がこのほど創部90周年を迎え、東京都内のホテルで10日、記念祝賀会を開いた。
OBや関係者らおよそ500人が出席。1985年以来4度目のリーグ戦制覇への期待や、100周年の節目への展望などを語り合った。
練習拠点がある東京都稲城市の高橋勝浩市長からも「地元のチームとして、市も連動して一緒に盛り上げていきたい」と激励があった。
昨年はリーグ戦5位。だが、価値あるシーズンだった。
東海大、流経大など上位校とも互角に渡り合う。開幕4連敗で目標だった5年ぶりの大学選手権出場が絶望的になっても、終盤で3連勝。「4年生の奮起で盛り返した」と中野克己監督ら首脳陣は口を揃えた。
近年は負けが続くと雰囲気が沈み、入れ替え戦を経験し続けた。そんな陥りがちだった悪循環から、チーム一丸で抜け出した。
祝賀会で「ようやく戦闘集団になってきた」と期待を込めたのは大塚吉兵衛学長。
来賓の他大学関係者からも賛辞が贈られ、法大OBの水谷眞関東協会会長も「最近の日大は上位と戦えるように成長してきたと感じる」と警戒していた。
大学選手権の常連だった’90年代から2000年初頭。阿多和弘元監督が無名選手を徹底的に鍛え「ヘラクレス軍団」と恐れられた。トップリーグに入るOBだけでなく、サントリーの沢木敬介監督、女子7人制代表の稲田仁ヘッドコーチと、若き名指導者も輩出した。
伝統のパワフルなスタイルは忘れず、今は古豪復活のための改革として、柔軟なチーム作りを進める。外部の力を積極的に取り入れるのもその一環。伊藤武ヘッドコーチは流経大、川邉大督FWコーチは法大の出身だ。
ここ数年の間に、スポーツ日大稲城アスレティックビレッジと銘打つ施設を整えた。人工芝グラウンド、選手の体作りを支える食堂、ネット環境完備の学生寮などは最新鋭の設備。その環境に憧れて入学し、下級生でレギュラーを掴んだ選手も多い。
今年度も、新戦力として期待が大きい高校生や、国際舞台の経験がある留学生が受験。「間違いなく復活への道を歩んでいる」。川松真一朗ゼネラルマネジャーは手応えを口にする。
坂本駿介新主将(青森・三本木農高出身)は、多くのOBや他校監督らを前に、壇上から「来季は日大が優勝します」と力強く宣言した。
リーグ戦創設時からの伝統校は、新たな黄金期を目指して結束を強めている。