2月4日から本格始動した「ラグビーワールドカップトレーニングスコッド(RWCTS)キャンプ」が2週目に入った。
12日は東海大相模高の部員が見学に訪れるなか、始動時から続けるスキルセッション、チームを4つに分けておこなうゲーム形式のフィジカル強化セッションを実施。練習会場となっている東京・キヤノンスポーツパークで、参加者の山田章仁はこうまとめた。
「全体的にもバランスよくやれている。スキルも、息を上げることも、チームビルディングなこともできている。(キャンプは)非常にいい設計をされていると思います」
2019年のワールドカップ日本大会に向け、日本代表候補が下地作りの只中にいる。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは来日前だが、「あまりそこは深く考えていないです。やることは一緒」と山田。2015年のイングランド大会でも活躍した33歳のWTBは、「個人的にはチームとコミュニケーションを取ることを意識しています」とも話した。時代はトップダウン型からボトムアップ型へシフトしている、というかねてよりの持論を交え、こうも続けた。
「(いまのチームでは)誰がリーダーというわけでもないと思います。リーダーを決めず、一人ひとりが発言してという時代に乗って、僕らも頑張っています」
キャンプでは、捕球とほぼ同時に投球動作に入るハンズパスや、タックルされながら近くの味方にボールを渡すオフロードパスなど、現代ラグビーにおける基本のパススキルを総点検している。例えばハンズパスにおいては、両手を胸の位置に掲げて捕球し、その高さを保ったままパスモーションに映るのが肝とされる。
山田は「ラグビーには何が正解というものがないから、いろいろなシチュエーションに対応できるスキルを磨いていく。それがこの合宿を通しての課題でもあるでしょう」。オフには各地で子ども向けのラグビー教室を企画、運営しているとあって、ハンズパスについてこうも語っていた。
「上達に終わりはないと思いますから、ちょっとずつでも上達していけたら。腕を下げないでパスするというのは、僕が小さい頃は教わっていない。だから、これは小さい子には教えたい。ラグビーも進化していっている。僕らも時代、戦術に合ったスキルというベースを作っていくのが大事だと思います」
グラウンドでの練習を終えると、選手やスタッフは練習道具などを片付けてクラブハウスへ戻る。一方で山田は、手ぶらで引き上げられそうな選手に声をかける。グラウンドの脇にたたずむ東海大相模高の部員に気を配り、集合写真を撮った。
「せっかく、来てもらったので。荷物を持って行ってくれている選手がいたので、それ以外の選手は(写真撮影をしたらよいと思った)」
グラウンドでは徹底的に鍛錬を重ね、グラウンド外では視野を広く保つ。この人の真骨頂が垣間見えた。