シックスネーションズの開幕戦、敵地ダブリンで優勝候補アイルランドを破ったイングランドは、第2節、本拠地トゥイッケナムにフランスを迎え、44-8で大勝を収めた。6トライを奪う猛攻で2試合連続トライボーナスポイントを獲得し、単独首位の座に就いた。
前節に引き続き、試合開始早々から全力で先手を取りにいくイングランド。開始2分も経たずに、エリオット・デイリー(FB)が自陣からフランスディフェンスを切り裂き、キックでゴールライン上に転がしたボールをジョニー・メイ(WTB)が押さえ、早速試合の主導権を握る。
フランス陣に入ってから、デェフェンスラインの裏を突くイングランドのキック攻撃はこの日、おもしろいように決まる。28分には、メイは再びインゴールでクリス・アシュトン(WTB)が転がしたボールを押さえ、39分にもデェフェンスの裏へのゴロパントから生まれチャンスから、ヘンリー・スレイド(CTB)がトライ。
フランスは、この日見せた数少ない輝きのあるプレー、ヨアン・ウジェ(FB)のカウンターアタックから、ダミアン・ペノー(WTB)が35分にトライを挙げるが、これがこの試合での最後の得点となる。
この日のフランスは、テストマッチではWTBで起用されることの多いウジェがFBを務めており、ポジショニングの判断を難しくするようなプレーを仕掛けたイングランドのBKに、してやられた感がある。イングランドは、SOのオーウェン・ファレル、技巧派で知られるCTBのスレイド、FBのデイリーだけではなく、WTBのアシュトンの足からも、ゴールライン上でピタリと止まる正確なゴロパントが再三、放たれた。100メートルを10秒台で走るスプリント能力を持つメイをチェイサーとしたこの攻撃オプションは、正に「飛び道具」として、有効なトライパターンの一つとして完成度を高めている。
マン・オブ・ザ・マッチの活躍を見せたメイは、前半だけで3トライを挙げる活躍。イングランドは30-8と、事実上試合を決める点差を付けて前半を折り返す。試合後、フランスのジャック・ブリュネル ヘッドコーチは、「厳しい試合になるとは予想していたが、前半は想定以上にやられた。特に、イングランドのキッキングゲームに対応できずに、残念な結果に終わった」と振り返った。平均体重が120キロに迫る超重量級FWを投入したフランスだが、スクラムでイングランドに押し込まれる場面も多く、この日のレ・ブルーは、とにかく精彩を欠いた。
気を緩めないイングランドは、後半さらに2トライを重ねつつ、フランスを無得点にシャットアウト。「前半で4トライを挙げるパフォーマンスは素晴らしいが、それよりも後半、フランスを無得点に抑えたゲーム運びと、ディフェンスを評価したい。こういう試合は、後半で気が抜けてしまいがちだが、今日は試合を通じて緊張感を保つことができた」とは勝ち組の将、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチの言葉。
開幕戦で16点のリードを守れずウェールズに敗れたフランスは、この日も落胆のパフォーマンスを見せ、初戦でアイルランドを破ったイングランドは、盤石の勝利で単独首位の座に。イングランドは、次節はカーディフで、同じくこれまで2勝を挙げているウェールズと対戦。大会の大きな山場の一つとなるゲームに、欧州中の注目が集まる。