ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕まで約7か月と迫ったが、20年ぶりの優勝を目指すオーストラリア代表“ワラビーズ”に亀裂が入った。同国ラグビー協会は今週、2015年からアタックコーチを務めてきたスティーブン・ラーカムの解任を発表。現地メディアによれば、マイケル・チェイカ ヘッドコーチとの間で、アタック戦略について考えの違いがあり、全体的なゲーム哲学でも合意できなかったという。
ラーカムは選手時代にオーストラリア代表として102キャップを重ね、1999年には背番号10をつけてワールドカップ優勝に貢献した歴史に残る名選手のひとり。日本のリコーブラックラムズでプレーしたあとは指導者の道に進み、ブランビーズのヘッドコーチだった2015年からオーストラリア代表のコーチングチームに加わっていた。
ラーカムの頭脳も得て、2015年のワールドカップで決勝進出を果たしたオーストラリア代表だが、過去3年間のテストマッチの戦績は17勝23敗2分け(昨年は4勝9敗=勝率30%)と苦しんだ。指揮官交代を求める声も強かったなか、オーストラリア協会は昨年末にチェイカ ヘッドコーチの続投を決めたが、スコットランド協会で働いていたスコット・ジョンソンを呼び寄せて新設のディレクター・オブ・ラグビーに就かせチェイカの権限を縮小し、アシスタントコーチ陣の立場も安泰ではなかった。
新しいアタックコーチは未定。かつてチェイカのもとでワラターズのアシスタントコーチを務め、2014年のスーパーラグビー優勝に貢献したダリル・ギブソン(現 ワラターズ ヘッドコーチ)が後任候補のひとりとして現地メディアの間で名前が挙がっているが、オーストラリアラグビー協会のラエリーン・カッスルCEOは、「スーパーラグビークラブの指導者には大会に集中してもらい、スーパーラグビー環境の外から探すことになるだろう」と語っている。
「スケープゴート(身代わり)」にされたのではないかとも言われるラーカムは今後、ナショナル・ハイパフォーマンス・コーチアドバイザーとして、オーストラリアラグビーのセブンズプログラム、U20代表、女子代表などに関わっていく。