ラグビーリパブリック

半世紀を超える津軽雪上ラグビー大会。今年も弘前(青森)で笑顔と熱戦。

2019.02.04

八戸学院大から出場の2チームが「スパイクの部」の優勝を争った。(撮影/松本かおり)



 半世紀以上も続いている。今年も北国のラグビーマンたちが雪の上で楕円球を追った。
 歴史を重ねること今年で53回目。津軽雪上ラグビー大会が2月2日と3日、青森・弘前の東奥義塾高校ラグビー・サッカー場で開催された。
 2日に高校生の部がおこなわれ、3日は社会人や大学生が参加。本格的に勝敗を競う「スパイクの部」、愛好家たちが楽しむ「ながけりの部」に分かれて試合が実施された。また、子どもや女性が参加する機会も設けられた。

 雪の上に墨汁でラインを描いたグラウンドでおこなわれる同大会。ながけりの部は、長靴+ヘッドキャップでのプレーが条件だ。
 今年は当初4チームがエントリーしていた。しかし、最終的には3チームで実施された。2勝を挙げて優勝したのはSCRAPS Bだ。同チームには元日本代表SOの松尾勝博氏も参加。ボールをよく動かしてトライを重ねた。

 スパイクの部には6チームが参加した。決勝では、王城ホワイトナイツとデーモン・デビル・バッツが対戦した。
 ファイナリストとなった両者は、八戸学院大からエントリーしたチームだ。例年はFWチーム、BKチームをそれぞれ編成して臨んできたが、今季はポジションに関係なくチームを組んだ。序盤は競ったが、最終的には24-7でデーモン・デビル・バッツが快勝。MVPには吹越大清(ふっこし・たいせい)が選ばれた。

「スパイクの部」で3位に入ったのはSCRAPS A。弘前大ラグビー部を10-5で破る。(撮影/松本かおり)
レジェンドとして大会に2年連続参加の元日本代表・松尾勝博氏。(撮影/松本かおり)

 3年生の吹越は、青森の三沢商出身。北国生まれだから、雪には強い。
 しかし、今年に入っての練習はウエートトレーニングなど室内でのものばかりだったから、屋外でのプレーはこの日が久しぶりだった。
「だから少し緊張しました。でも、楽しむ気持ちも忘れずにやった結果だと思います」
 八戸学院大は、2018年度の東北地区大学総体でおこなわれたセブンズで優勝している。その経験も活かした。

 15人制ではCTBとしてプレーする吹越は、大学ラストイヤーを迎える2019年度のシーズンに向け、「大学選手権出場が目標」と言った。昨季は東北地区大学リーグで東北学院大、東北大に敗れて3位に。全国行きの切符を逃し、悔しい思いをした。
 雪上大会での優勝を再浮上への第一歩としたい。

 大会がおこなわれた2日間は好天に恵まれ、『レジェンド』として参加した松尾さんが指導したラグビークリニックでは高校生たちが刺激を受けた。
 グラウンドの脇では「つがる豚」を使った豚汁が無料でふるまわれた。あったかいソバも人気があった。各チームのテントでも思い思いの鍋が作られていた。
 青空の下の雪のピッチに墨汁ライン。楕円球を追いかけて転び、笑い、熱くなる。
 どれもこれも素敵な光景。世界に紹介したい、日本ラグビーの一部だ。

「ながけりの部」では2勝したSCRAPS Bが優勝。オールホワイトと弘前大医学部ラグビー部OBに勝った。(撮影/松本かおり)
スパイクの部でMVPに選ばれた吹越大清(八戸学院大3年)。(撮影/松本かおり)
試合前、墨汁でのライン引き。(撮影/松本かおり)