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「追う立場でいたいわけではない」。松田力也、サンウルブズの10番を狙う。

2019.02.01

2018年度のトップリーグは9試合に出場し、8戦が12番で先発。10番は1度だけだった。(撮影/松本かおり)



 負けん気はプレーヤーの命だ。
 サンウルブズのプレシーズン合宿に参加している松田力也は言った。
「常に追う立場でいたいわけではない」
 名キッカーで得点能力の高いヘイデン・パーカーが、現段階では10番争いの一番手か。ジャパンでは田村優が存在感を示している。
 そんな状況を問われて、冒頭の言葉が口に出た。

 2月16日の開幕戦(対シャークス)に向け、千葉・市原でトレーニングを重ねているサンウルブズ。松田はSOとしての成長を期待される。
 トニー・ブラウン ヘッドコーチ(以下、HC)が言う。
「(松田は)CTBもFBもできる。インパクトプレーヤーとして起用しやすいが、やはりSOとして見ています。能力があるから(サンウルブズに)選ばれている。その力を、ジャパンやサンウルブズでチャンスを得たときに出すことが大事」
 パーカーのようなプロ意識の高い選手と過ごす時間を成長につなげてほしいと続けた。ゲームコントロール能力をもっと高めることを求める。

 昨年末に発表された第3次ワールドカップトレーニングスコッドにも、SOで選ばれた。しかし、トップリーグではCTBでの出場がほとんど。そんな状況だから、第6週以降の合流が多いジャパン組にもかかわらず、最初からサンウルブズで活動している。
「SOとしてのプレータイムが少ないので、高いレベルで経験を積んでほしい、と」
 ジェイミー・ジョセフHC、ブラウンHCの指示を受けた。自身も納得している。

 パーカーと田村。ふたりの司令塔の背中を見ている状況を、「目標がある方が、自分の やるべきことが明確になる」と言う。
 しかし、コピーになるつもりはない。
「キックとゲームコントロール。(追っている)ふたりには違う良さがあると思います。その強味を真似することはできません。それらを(自分も)やれるようにした上で、自分の色をしっかり出したい」
「何をしてくるか分からないと思われる選手になる」と、独自性で勝負する姿勢をとった。

 国際舞台や国内での厳しい試合を経験することで、余裕を持って動けるようになってきたと自覚している。「それをハードな状況の中でも出せるか」が鍵だ。
 メルボルン(豪州)に場所を移して準備を重ねる来週には、レベルズとの実戦形式の練習も予定されている。そこで積み重ねてきたものを発揮し、信頼を得たい。「レベルズとの実戦で出た課題によって、その先にやることが決まる。まずはチームとしてやってきたことを出す」と、アピールの好機と自覚する。
 チーム練習以外の時間を使って、個人テクニックを高めることも忘れない。
 信頼を得ないと10番のジャージーを着られないと知っている。



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