目指すは2021年開催の女子ワールドカップでの上位トーナメント進出だ。
1月16日の日本協会理事会で承認されて就任した、女子15人制日本代表、レズリー・マッケンジー ヘッドコーチ(以下、HC)の記者会見が同30日に開かれた。任期は2年後にニュージーランドで開催されるワールドカップまで。同大会への出場権を争うアジア予選は来年開催される予定だ。
女子7人制日本代表(以下、サクラセブンズ)のアシスタントコーチも務めている同HC。セブンズ代表は来年開催の東京オリンピックを控えているため、しばらくは兼務しながら、それぞれのリソースをお互いの強化に結びつけていくつもりだ。
マッケンジーHCが何度かのスポットコーチとしての指導を経て、正式にサクラセブンズのアシスタントコーチに就いたのは昨春。以来、日本の女子選手の近くで過ごしてきて特性を知った。
「15人制と7人制では違うが、セブンズの選手たちと一緒に過ごして、コンタクトやフィジカリティーの面で海外の強国と差があると感じています」
しかしそれらについては、「男子代表やサンウルブズが乗り越えられるということを証明してくれている」と話す。
「マインドセットや技術の向上によってそこはクリアできると男子代表が示しているので、自分たちも不得手な部分を言い訳にすることはできないと思っています」
日本の女子選手たちの勤勉さ、細部へのこだわり、繰り返し鍛錬することを厭わない忍耐力が現状を変えていく。そう期待しているようだ。
サクラセブンズのリーダーである中村知春は、以前、同HCの指導を「スイッチの入れ方が上手」と表現したことがある。
すでに1月20日から24日まで、和歌山で女子15人制強化合宿及び女子TIDキャンプ(国際競技力向上を目的に、ジュニア・ユース世代を対象にした次世代人材発掘&育成プログラム)で指導をおこなった同HCは、選手たちと話し、チームコンセプトのイメージを描いた。
そこで挙がったのが、「サクラウエーブ」という言葉だ。
「他の国と違うやり方で戦うことを考え、チームを波に例えました。水がひとつのかたまりとなって動き、多様性を持って、パワーを生み出す」
チームは時間をかけて独自のスタイルを作り上げていくつもりだ。今夏には豪州遠征をおこない、同地でテストマッチを戦う強化プランを持つ。
マッケンジーHCはカナダ・ブリティッシュコロンビア州フォートネルソンの出身。現在38歳。女子カナダ代表として2006年、2010年のワールドカップに出場し、25キャップを持つ。現役時代はHOで、ニュージーランドのクラブレベルでは、バックローやWTBなど幅広くプレーした。
母国のブリティッシュ・コロンビア大女子チームHCで本格的なコーチングキャリアをスタートさせた。来日前はNZ・ワンガヌイ協会のディベロップメントオフィサーなどを務めていた。女子だけでなく男子(ハリケーンズやワンガヌイ代表のユース世代)を指導した経験もある。
ウェリントンのディベロップメントレベルのコーチ時代にはかつてサントリーで活躍し、ニュージーランド代表として30キャップを持つアラマ・イエレミア氏にコーチングについて教わったこともある。