ラグビーリパブリック

今季は走る。2019年のヘイデン・パーカー(サンウルブズ)は攻撃的SOに。

2019.01.30

昨季は3トライも合わせ、136得点の活躍だった。(撮影/松本かおり)

 サンウルブズ2年目の司令塔がファンの心をくすぐる。
 あと20日もしないうちに開幕する2019年のスーパーラグビーへの抱負を、ヘイデン・パーカーは、こう言った。
「アタックで脅威となるようにしたい。ランで仕掛ける、怖がられる選手に」
 昨季は左足からの精度高いキックで勝利に貢献した背番号10が、今季はボールを手に攻める。楽しみが膨らむ。

 2018-2019年シーズンから神戸製鋼に所属するパーカーは、今年に入ってからおこなわれたカップ戦にも出場したため、他のメンバーより遅れてサンウルブズに合流した。
 大分・別府での合宿を終えたチームは、1月28日から千葉・市原に場所を移してふたたび練習を開始。その初日、パーカーは「自分はまだ合流して日が浅く、手探り状態だけど、チームは順調だと感じる」と話した。

 2015-2016年シーズンにはパナソニックにも所属していたから、神戸製鋼での活動も含め、日本で通算2シーズンを過ごした。「日本人選手とのコミュニケーションの取り方も上達した」と言う。
「どこまで周囲に期待していいのか。そんな感覚も分かってきたし、シンプルな言葉で、明確に伝えればよく伝わると知りました」
 もし自分が日本語で意思を伝えなければいけないようだったら、困った状況になっていたはず。そんなジョークを交えながら、環境に順応できるようになった現在の様子を口にした。

 神戸製鋼で過ごしたこのシーズンは刺激が多かった。世界トップクラスのSO、ダン・カーターがチームメートになったことが大きかった。
「試合に向けてのプロセスを目の当たりにできたのは、すごく勉強になりました。高いプロ意識があるから、オールブラックスとして100以上(112)のキャップを積み重ねられたし、神戸製鋼でもあれだけの活躍ができたと思います」
 尊敬する司令塔と過ごした時間の中には、多くの気づきがあった。

 開幕からの数週間を現在のスコッドで戦い、第6週あたりからは、別部隊で準備を重ねる日本代表の主力が加わる今季。司令塔としては、対応が難しいようにも思えるが意に介さない。
「(全員が)なじむまでにある程度の時間は必要でしょうが、(ジャパン組は)能力の高い選手たちばかりです。また、ブラウニー(サンウルブズのトニー・ブラウン ヘッドコーチ)とジェイミー(日本代表ヘッドコーチ)がコントロールしてくれるでしょうし、そもそも両チームは共通認識を持ってやっているので問題ないでしょう」
 ワールドカップへ向かう日本代表に対し、協力を惜しまない。「サンウルブズの成果はジャパンの成果になる」とも言った。

 50回のプレースキックの機会の中で失敗は2回(26G+22PG)だけ。成功率96㌫はリーグトップで、38回連続で決める記録も作った2018年シーズン。昨季はサンウルブズにとどまらず、スーパーラグビー全体のスターとなった。
 ハイランダーズ時代の試合出場機会は4シーズンで30戦に限られた。その多くが途中出場だったから、先発機会を多く得た昨季終了後には、「途中出場だと、無理なプレーをしたり、気負ったりしてしまう。しかしスターターを多く任せてもらうようになって、自分に与えられた仕事をやり通すことに集中できた」と話した。
 さらなる進化を目指す今季。それはチームの躍進に直結する。

外苑前駅近くの光景。多くの人に知られる存在になりつつある。