ニックネームは「ルースター」。雄鶏のことだ。ドレッドヘアのレネ・レンジャーは言った。
「若い頃は髪の毛を赤、青などに染め、ルースターのような髪形をしていました。それを仲間がルースターと呼び出したことが、周りに広まっていきました」
ラグビーのニュージーランド代表で6キャップを持つ32歳は、2018年に来日。国内トップリーグの日野で戦い、2019年はかねてより加入の決まっていたサンウルブズへ合流した。身長183センチ、体重102キロの強力な突破役は、日本をベースにした発足4季目のクラブでの成長と活躍を誓う。
「外から見ていると、サンウルブズはエキサイティングなラグビーをしていました。コーチングスタッフにも恵まれ、日本は素晴らしい国でもあります」
ニュージーランドはオークランド出身。国内地域代表選手権でノースランドの一員としてプレーし、2009年からの5シーズン、2016年からの2シーズンは、地元のスーパーラグビークラブのブルーズで活躍した。
フランスのモンペリエ、ラ・ロシェルでも在籍経験のあるレンジャーがサンウルブズ入りしたのは、「新たな挑戦」に興味があったからだ。リコーのボーク コリン雷神、栗田工業のタマティ・エリソンら来日中のニュージーランド人選手からは、日本の文化や環境について前向きな話を聞いていた。
だから、2018年のサンウルブズを率いた日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(HC)から「(サンウルブズに)興味はあるか」と問われた際は、すぐに「興味があると意思表示をしました」。宗像サニックスのダン・プライアー、三菱重工相模原のマイケル・リトルといったサンウルブズのメンバーにも進路について相談したとし、こう続けた。
「新しい挑戦。新しい機会。日本を経験し、日本の目指すプレースタイルを実現できるのを楽しみにしています。何人かの友だちは、誰もが日本での経験が素晴らしいと言っていた。オファーを受けた時、すぐプレーをしようと決めました」
若いチームにとって、経験豊富な選手の加入は心強いところ。当の本人も「サンウルブズの素晴らしい点は、いまチーム力を上げてきているという点です。自分が入ることでチームに貢献したい」。周りに経験を伝えてくれそうだ。
さらにはハイランダーズのアシスタントコーチ、HCも務めたトニー・ブラウン新HCのもとで、自らを成長させたいという。
「意思決定、試合全体への気づき、ディフェンス時の判断や視野は向上させたい。ハイランダーズのコーチだったブラウンとは試合で対戦してきましたが、彼についてはいい噂しか聞かない。彼からたくさん聞き、学びたい」
選手時代のブラウンについては「タックルで怪我をさせられたことがありました。確か20代の頃。肝臓を傷めました」とのエピソードも明かす。昨日の敵は今日の友。多くのファンが楽しめる派手なパフォーマンスを披露しながら、ボールがない場所での判断力や感性も磨いてゆく。