積極性が武器だ。前向きな男らしい行動が道を拓いた。
大分・別府でのトレーニングを終え、1月28日からふたたび千葉・市原でのプレシーズン合宿をはじめたサンウルブズ。強風に見舞われた同日のグラウンドには、数名のトップリーガーがいた。練習をサポートするため、チーム側からの要請を受けたからだ。
その中に、パナソニックの藤田慶和もいた。この人の場合、きっかけは「自ら」作った。
日本代表31キャップを持つ。2015年ワールドカップで躍進した日本代表のひとりだ。
しかし新体制となったジャパンでは、2017年の秋にチャンスをつかんだ以外はキャリアを重ねることができていない。
昨年12月に発表された第3次ワールドカップトレーニングスコッドにも名前がなかった。
悶々としたまま迎えた、このシーズンオフ。藤田は、8か月後に迫った大舞台への道を探った。
自分を進化させるにはどうすべきか。その方法を知りたい。
自身の力をアピールできる場はどこに。
可能性を考え、進むべき道を探り続けた。
「個人的に、いろんな人に連絡を取って相談し、ロビーさん(パナソニックのディーンズ監督)やバンジー(同ベリック・パーンズ)にアドバイスももらいました。その中のひとりにブラウニーもいたんです」
多くの指導者は前向きなプレーヤーが好きだ。今季、サンウルブズの指揮を執るトニー・ブラウン ヘッドコーチは、やり取りの途中、「(体が動くなら)練習に参加してもいいぞ」と言ってくれた。
迷いなく駆けつけた。交通費は自分持ちだ。
参加初日。トレーニングでも積極的に動いた藤田は、練習後に言った。
「この5日間、精一杯やります。素晴らしい機会を与えてもらった。ものにしたいですね」
サンウルブズでプレーしたい。その先にはワールドカップもある。
「(ワールドカップスコッドに入るのは)苦しい状況ですが、目指したい。いま目の前にあることを100パーセントやることが先につながると思っています」
ボールを持ったら何かを起こす。その自分の強みをより高めたい。
「だから、もっとボールタッチを増やせるようにしたい。そこをトップクラスまで持っていければ、(ライバルたちと)戦える」
世界で活躍した経験のある先輩たちに相談をしたとき、いろんなアドバイスをもらった。
「バンジーには、トレーニングや努力(する姿、その結果)はコーチから見てもらえるようにやった方がいいと言われました。ロビーさんは、チームにはこういうスケジュールを予定しているから、それも頭に入れて動いてみれば、と」
何もやらずに後悔するのだけは嫌だ。自分から攻めていくのが信条だ。
この日のトレーニングにはパナソニックのウエアで参加した。仲間の姿を見ながら、「あれ(サンウルブズのウエア)を着たい」。
アタッカースピリットを見せ続ける。