2017年末に禁止薬物所持で2度目の逮捕となり、当時所属していたレッズのブラッド・ソーン ヘッドコーチに見限られて昨年のスーパーラグビーでは1試合もプレーできなかったカーマイケル・ハントだが、ライバルチームからセカンドチャンスを与えられた。獲得したのはワラターズで、1月21日、レッズとの間で、ユーティリティBK同士であるハントとブライス・ヘガティーのトレードが成立したと発表した。
騒動を起こす前にオーストラリア代表として6キャップを重ねていたハントにとって、32歳で迎えた今年、信頼回復とともに、ワールドカップスコッド入りへアピールする最後のチャンスでもある。
ハントは2017年12月30日にブリスベン市内で、駐車場の車内からコカインと見られる白い粉が入った袋が押収され、薬物所持の現行犯で逮捕された。その後の裁判で、証拠不十分によりコカイン所持の告訴は棄却されたが、制限された処方箋薬(ザナックス)の所持を認め、また、指紋を求めた警察の指示に違反した罪でも訴えられ、オーストラリアラグビー協会からは選手行動規範の違反を犯したとして罰金や出場停止処分を科されたほか、薬物治療および教育プログラムに参加するよう命じられていた。
ラグビーリーグ(13人制)とオージールールズ(オーストラリアンフットボール)でスターだったハントは、2015年、15人制のラグビーユニオンに転向したばかりの頃にコカイン所持で逮捕された過去があり、2度目の愚行にレッズは厳しく対処、出場停止処分が明けてからもハントがスーパーラグビーでプレーすることはなかった。
ハントを獲得したワラターズのダリル・ギブソン ヘッドコーチは、「我々はカーマイケルが直面していたフィールド外での問題を認識しており、チームとしてもビジネスとしても、軽視していない」とコメント。しかし、本人や彼の家族、サポートネットワークなどとも徹底的に話し合い、ハントのやり直したいという強い願望もあって、受け入れることを決めたという。10番から15番まで、バックラインの複数ポジションでプレーできるのも魅力だ。
そして、妻と3人の娘と一緒に新天地のシドニーに引っ越したハントは、「ダリルとワラターズが私に別の道を与えようと決心してくれたことは、私にとって大きな意味があります。この機会を両手でつかむ準備はできています」と語り、再挑戦へ覚悟を決めている。