ジャパンラグビートップリーグは、今季新設されたカップ戦の最終順位決定戦が1月19日におこなわれ、東京・秩父宮ラグビー場で開催された決勝ではトヨタ自動車ヴェルブリッツがサントリーサンゴリアスに43-34で勝ち、初代カップ戦王者となった。
過去に日本選手権や全国社会人大会で優勝したことがあるトヨタ自動車だが、2003年から始まったトップリーグにおいてタイトルを獲得したのは初めて。今季リーグは4位だった。
前年度チャンピオンのサントリーは今季、日本一を決めるリーグのプレーオフ決勝(兼 日本選手権)では神戸製鋼コベルコスティーラーズに敗れており、無冠に終わった。
ワールドカップを見据えてコンディション調整が必要な日本代表候補や2月中旬開幕のスーパーラグビー参加選手などが戦列を離れ、今季出場機会が少なかった選手を起用するチームも多かったカップ戦。
決勝の試合登録メンバーに外国出身選手を8人並べたトヨタに対し、サントリーは日本人選手だけで臨んだ。
先に主導権を握ったのはトヨタ。前半4分、敵陣でのスクラムからの攻撃でWTB彦坂匡克が駆け上がってゴールに迫り、テンポよくリサイクルしてCTBイェーツ スティーブンが先制トライを挙げた。6分には自陣でのラインアウトスチールから展開してWTB彦坂、FBジオ・アプロンがゲイン、さらにパスをもらったCTBクリントン・スワートも力走し、LOジェイソン・ジェンキンスがフィニッシュして追加点を奪った。
サントリーは15分、CTB梶村祐介の突破からチャンスとなってSO田村煕も好走し、WTB成田秀平がゴール左隅に飛び込んで5点を奪い返した。19分には田村がPGを決め加点。さらに31分、ラインアウトからモールを組んで押し込み、逆転した。
しかしトヨタは34分、連続攻撃で敵陣深くに入り、SO樺島亮太がゴールラインを割って流れを変え、19-13で折り返した。
後半最初にスコアボードを動かしたのはトヨタで、ディフェンスで辛抱したあとの43分(後半3分)、ラインアウトからのアタックで敵陣深くに入り、フィジカル強いLOジェンキンスがインゴールにねじ込んだ。47分にはターンオーバーからの連続攻撃をNO8フェツアニ・ラウタイミがフィニッシュ。勢いがついたトヨタは49分にもFL佐藤穣司がトライゲッターとなり、リードを広げた。
サントリーは59分、61分と途中出場のWTB尾崎晟也が連続トライを決めて11点差に詰めたが、トヨタは72分、FL佐藤がブレイクダウンでボールを奪い返し、元日本代表CTBマレ・サウの力強い走りもはさんでボールをつなぎ、FBアプロンが貴重な追加点を挙げた。
サントリーは77分に途中出場の元日本代表SO小野晃征がトライを奪い返して勝利への執念を見せたが、トヨタがリードを守り切り、カップトロフィーを獲得した。
トヨタの指揮官となって2季目で初の栄冠に導いたジェイク・ホワイト監督は、「きょうの勝利は嬉しい。決勝や準決勝などの舞台でプレーすればするほど選手は勝ち方を理解する」とコメントし、チームの成長を感じている様子だった。ゲームキャプテンを務めたアプロンは、「タフな戦いだった。サントリーは素晴らしいチーム。その相手に勝てたことは、自分、チーム、会社にとって嬉しいこと」と喜びを語った。
一方、敗れたサントリーの沢木敬介監督は、「前半と後半の最初の3分で勝負を決められたが、選手たちはプライドを持って戦った。こういう経験がきっかけで、選手たちは成長する」と話し、こちらも確かな収穫を得て、今シーズンの戦いを終えた。
<トップリーグカップ 最終順位決定戦>
▽1位・2位決定戦
・トヨタ自動車 43-34 サントリー
▽3位・4位決定戦
・パナソニック 24-21 クボタ
▽5位・6位決定戦
・東芝 33-28 神戸製鋼
▽7位・8位決定戦
・NTTコム 62-21 キヤノン
▽9位・10位決定戦
・リコー 28-17 NEC
▽11位・12位決定戦
・ヤマハ発動機 35-31 豊田自動織機
▽13位・14位決定戦
・コカ・コーラ 40-24 Honda
▽15位・16位決定戦
・宗像サニックス 19-14 日野