決戦の開幕まで約8か月。もっとも大切なのは「ワンチームになることだと思う」。3度のワールドカップを経験してきた男は、ジャパン躍進に必要なものをそう口にした。
東芝ブレイブルーパスのLO大野均は41歳になる2019年も元気だ。
ワールドカップイヤー最初の出番は、1月13日のトップリーグカップ、キヤノン戦。後半38分からの僅かな時間だった。
年齢を重ねても、「(若い頃と)変わっていないと思っています」という自分のパフォーマンス。日本代表、サンウルブズへの選出について「現役選手として最後の最後まで諦めることはない」としながらも、現実をしっかり見つめている。
「まずは、来週まで続くカップ戦をしっかり準備して戦う。いまは自分自身が選ばれる、選ばれないより、ワールドカップ成功へ尽力できることがあればやりたいと思っています」
過去のワールドカップイヤー。国内シーズンが終われば、『さあジャパン』と切り替えてきた。
しかし今年は、「もし、いま選ばれている選手たちにケガ人が多く出たりしたら(自分が選ばれる可能性が出てきたら)すぐにスイッチを入れ替えるし、そういう気持ちでシーズンオフを過ごします」としながら、「若い選手たちを応援したい」と話した。
「チームと一緒に行動していなくても、(日本代表スコッドに選ばれている東芝の)リーチ(マイケル)や三上(正貴)、浅原(拓真)らが、(ワールドカップに向けて)しっかり準備しているのが伝わってきますから」
直接的なアドバイスをするわけではないけれど、トップリーグが終わった後には、リーチとリラックスして食事する時間を過ごした。
ワールドカップの成功、同大会でのジャパンの活躍を願っている。しかし、大舞台まで僅かな時間しか残されていないのに、国内の盛り上がりを「まだ足りていない」と感じている。
「大学選手権で明治が優勝してオールドファンには刺激になった気はしますが、それだけでは足りない。プレーヤーとしては、来週の試合でもいいパフォーマンスをして、少しでもラグビーに目を向けてもらいたいと思っています。オフもそういった活動をしていきたい。ただ、多くの人に注目してもらうためには、日本代表が勝つのがいちばん。ワールドカップまでにいくつか試合も組まれています。強豪に勝てば影響は大きいはずです」
昨季のジャパンのパフォーマンスを見て、「ボールを持っていればトライを取れるチームになった」と手応えを感じる。
「だから、いかに相手の思い通りにさせないか。失点を減らすこと」
ワールドカップまでに残された日々を「ワンチームになる」時間にしてほしいと、経験から話す。
「この(仲間の)中からなら、誰が(ワールドカップ)メンバーに選ばれたとしても気持ちよく送り出せるチームになることが大事。自分自身これまでの大会では、しのぎを削る準備期間を過ごし、大会直前には『このロック陣の中からだったら誰が選ばれても納得できる』という心持ちになれた。その中で選ばれて幸せでした。やり残したことはないというぐらい出し切って(メンバー)発表を待てた」
指揮官が変わろうが、プレースタイルが進化しても、闘う集団が大切にすべきことはきっと変わらない。