ラグビーリパブリック

240分出場の献身。地と空の職人、決勝へ

2019.01.07

準決勝で宙を舞う大阪桐蔭LO稲留。このチームで二人しかいないフル出場選手

 きょう1月7日、第98回全国高校ラグビー大会決勝が、東大阪市・花園ラグビー場で行われる。カードは春の選抜大会決勝と同カード。初優勝を目指す大阪桐蔭は、悲願達成に向けて万全の態勢だ。

 昨年に続きこの決勝の舞台に立ち、勝つことを見据えてきたという大阪桐蔭の覚悟は、今年の選手起用にも表われている。

 準決勝まで、ほとんどのポジションで先発の入れ替えや控え選手の途中投入が積極的に活用されてきた。大会を通じて選手の成長と、複数のセットでのコンビネーション確認を図るための策だ。

 準決勝まで4試合で、フル出場を果たした選手は2名のみ。最後尾の司令塔・FB伴井亮太、そしてLO稲留将貴(いなどめ・しょうき)だ。

 とりわけ、消耗の激しいLOのポジションでの240分出場は目を引く。

「しんどいけど、いま楽しいです」

 決勝前日の練習を終えた稲留は覇気にあふれていた。

 186センチ、76キロは、大阪桐蔭FWの中では群を抜いて細身に映るが、稲留には他にないたくましさがある。

 部長の河津浩司先生いわく、あまり前に前に出るタイプではないが、内に秘めたものがある。コツコツ努力を重ねている--

。3年間、大きなケガをせずこられたのは、天性のしなやかさと、日々のストレッチなど本人の地道な取り組みによるものだ。

 そして花園であらためてはっきりとしたのは、彼のタフに加え、その仕事ぶりに対するチームの揺るぎない評価だ。

 まずは、高いバランス感覚でラインアウト、キックオフなどの空中戦を制圧。

「決勝でも、ラインアウトでのスチールなどで貢献したい」

 中盤で、ゴール前で。マイボールの確保はもちろん、その空中での器用さは相手に心理的なプレッシャーも与えてきた。

 先発メンバー最長身ながらタックル、ブレイクダウンでは誰よりも低さを意識している。軽量をカバーする独自の技術だ。

 そして、とにかくよく走る。どんな戦略、どんな起用でも欠かせない選手になった。

「僕がやるべきなのは派手なこと、大胆なことでないから」

 その運動量は、パンチのある他のFWたちの活躍を支える、見えない土台となっている。

 決勝では、ライバル桐蔭学園の、FL西山周作に思いを馳せる。小6の時、稲留を生駒少年ラグビークラブに誘ってくれたのが西山だった。

 その後西山は中学からラグビーのために関東へ。5日の準決勝で初めて先発の座を射止めた。大会が近付いてからは直接連絡をとるのはお互いに遠慮しているが、共通の友人を通じて「終わったら、ご飯を食べにいこう」と決めている。

 ラグビーとの出会いを作ってくれた友との頂上決戦を見据えて、稲留が花園を走り切る。

■全国高校大会(決勝)
2019年1月7日(月)
14:00 大阪桐蔭 vs 桐蔭学園

★きょう、抽選で記念品プレゼント(大会実行委員会)

 きょうの決勝をバックスタンドで観戦する高校生以下の子どもたちを対象に、抽選で記念品をプレゼント。抽選券はバックスタンド入口にて配布される。当選番号の発表は決勝のハーフタイムにて。
【記念品】
1)大会使用ラグビーボール
2)トップリーグ・各チームオリジナルグッズ
3)スズキ、セプター、ミズノ、アシックスから大会記念グッズ