春の選抜大会で2018年度最初のビッグタイトルを獲得した桐蔭学園(神奈川県代表)が、高校ラグビーのシーズンを締めくくる花園の大舞台でも決勝進出を決めた。第98回全国高校大会の準決勝が1月5日におこなわれ、2年ぶりの王座奪還を目指した同じAシードの東福岡(福岡県代表)を46-38で倒した。桐蔭学園は3年ぶり6回目の決勝進出となり、第90回大会以来の2度目の優勝を狙う。
春の選抜大会(準々決勝)で6点差だった両校の再戦は、冬の花園でも接戦、激闘となった。
立ち上がりが良かったのは桐蔭学園。相手のハンドリングエラーから攻め込み、3分、ゴール前のFW勝負でPR鈴木康平がライン上に押さえ、先制した。6分には、天理とのタフな準々決勝で見事なキック力を披露したSO津田貫汰が、この試合1本目のコンバージョンに続いてファーストPGでも確実に得点し、リードを広げた。桐蔭学園の勢いは止まらず、9分にはブレイクダウンでターンオーバーして継続、左サイドを力走したHO紀伊遼平がオフロードパスでWTB佐々木隼につなぎ、紺に白線ジャージーの背番号11がゴールに持ち込んだ。
17点を追う展開となった東福岡は13分、右外でボールをもらったWTB志氣陸王がハーフウェイから抜群のスピードで走り切り、桐蔭学園ペースの流れを止めた。その後、NO8西濱悠太のダイナミックな走りもあって活気づいた東福岡は、相手にプレッシャーをかけて18分にPGで3点を追加する。
しかし桐蔭学園は25分、FL西山周作の強烈なタックルでボールを奪い返し、仲間がつないで、突進力があるHO紀伊が敵陣22メートルライン外から抜けてタックラーを振り切り、点差を広げた。
それでも、しぶとい“挑戦者”である東福岡は前半終了前、連続攻撃で26フェイズを重ね、NO8西濱がフィニッシュ。7点差に詰めて折り返した。
リズムが良くなった東福岡は後半4分、敵陣22メートル付近のラインアウトからモールを組んで力強いドライブで押し切り、コンバージョンも決まって同点に追いついた。そして3分後、相手陣内10メートルライン付近でモールを組んだあと、キャプテンのHO福井翔が持ち出し力強い突進で敵陣深くに入り、たたみかけ、PR木原優作が勝ち越しトライを決めた。
しかし、この試合初めて相手にリードを奪われた桐蔭学園だが落ち着いていて、10分、敵陣深くに入るとテンポよく攻め込み、FL渡邉誠人が左外でタックラー2人を外してフィニッシュ。SO津田がタッチライン近くからのコンバージョンキックを決め、31-31の同点となった。
桐蔭学園はさらに15分、FL渡邉がタックルで相手選手を止めると、仲間がすぐサポートに入ってターンオーバー、すばやくボールを動かして右外のWTB西川賢哉が走り切り、勝ち越した。18分にも攻め込み相手の反則でPGチャンスとなり、貴重な3点を追加。
高校ラグビー界トップクラスである両チームの熱闘は最後まで接戦となり、追いかける東福岡は21分、強力モールでゴールに迫ると、HO福井キャプテンが抜けてトライ。キックも決まって1点差に詰めた。
しかし桐蔭学園は25分、敵陣22メートル内に入り連続攻撃、HO紀伊が力強いレッグドライブでゴールに迫り、すばやくリサイクルし、FL西山がディフェンスの間を抜けてインゴールに飛び込み点差を広げた。SO津田がここでも見事にゴールキックを決め、8点リードとした。
あきらめない東福岡は残り時間約1分でボールを奪い返したが、ラインアウトでミスが出て攻撃権を失い、まもなくノーサイドの笛が鳴って、両校の熱く激しい戦いは終わった。
「今大会いちばんいい入りだった」と熱闘を振り返った桐蔭学園の藤原秀之監督。後半に一時逆転されたが、「点の取り合いになることは予想していた。石見智翠館戦(3回戦)、天理戦(準々決勝)も、接戦をものにして勝ちを拾ってきたので、この試合も逆転してくれると思っていた」と、選手の奮闘を称えた。
1月7日におこなわれる決勝は、春の全国選抜大会と同じカード。春冬2冠を狙う桐蔭学園と、悲願の花園初制覇を目指す大阪桐蔭が、高校日本一をかけて対戦する。
桐蔭学園は、昨年度の花園は準決勝でその大阪桐蔭に敗れており、藤原監督は「チャレンジできるのはありがたいこと。選手をしっかりケアし、準備させて、決勝に向かいたい」と話した。