大学選手権10連覇を目指した帝京大を天理大が倒した翌日、刺激を受けたに違いない天理高校ラグビーマンも燃えた。春王者に対してビッグチャレンジ。しかし、1月3日に東大阪市花園ラグビー場でおこなわれた全国高校ラグビー大会の準々決勝第3試合は、春の選抜大会優勝チームである桐蔭学園(神奈川)が奈良県代表の天理を44-29で下し、ベスト4入りを決めた。
天理は勇敢だった。桐蔭学園にPGで先制されたが、前半4分、敵陣22メートルライン内に入り、相手のプレッシャーにいったん押し戻されたもののボールをキープし、SH山脇一真が狭いサイドを抜けてゴールに持ち込み、ファーストトライを挙げた。7分にはラインアウトからの攻撃でFB本田飛翔が突破、WTB豊田祐樹も連続好走でチャンスを作り、クイックリサイクルからキャプテンのNO8照井悠一郎がフィニッシュした。
しかし落ち着いていた桐蔭学園は16分、14フェイズを重ねて白いジャージーの堅守を崩し切り、WTB佐々木隼がトライ。コンバージョンも決まって2点差とすると、21分には安定したキッカーのSO津田貫汰がPGを決め、逆転した。
天理は24分、ラインアウトからの一次攻撃でCTB前川風雅がブレイクし、パスをもらったWTB豊田がゴールへ駆け抜けゲームをひっくり返したが、桐蔭学園は前半終了前に再逆転。敵陣22メートルライン内の連続攻撃でアドバンテージをもらうと、FB伊藤大祐からのキックパスでボールを確保したWTB佐々木がトライを奪い、コンバージョンも決まって20-19で折り返した。
後半、最初に得点したのは桐蔭学園で、3分に敵陣深くに入ると、テンポのいい連続攻撃をWTB佐々木がフィニッシュしてハットトリック達成。8分にも敵陣深くでのキックチャージからチャンスとなり、WTB西川賢哉がトライを取り切った。ディフェンスでもリズムを良くした桐蔭学園は、16分にはCTB江川剛人がブレイクダウンでファイトし、PGチャンスを得て、18点リードとした。
それでも天理は粘り、18分の波状攻撃をWTB高崎翔太が得点に結びつけ、22分にはCTB前川のブレイクスルーでチャンスとなり、FWがパワープレーでトライを取り切って8点差に詰めた。
しかし、桐蔭学園は26分に敵陣深くに入ると、1年生NO8佐藤健次が力強い走りでギャップを抜けてゴールに持ち込み、大きな追加点を獲得して激闘を制した。
桐蔭学園の藤原秀之監督は「60分間、しんどい試合になると選手に話していたが、まさにそのような試合になった。非常にいい経験になった」とコメント。
SHの小西泰聖キャプテンは「タフな試合になることはわかっていたので、前半、風下をとって、ビハインドで折り返す可能性はあったが、しっかりがまんしようと声をかけていた。逆転されることも想定していたので、落ち着いていた」と振り返り、準決勝へ向けても強い気持ちで臨むと語った。