ラグビーリパブリック

福岡のタックル娘は153センチ。福本梨乃、「来年の全国ジュニアはメインで」。

2018.12.30

小学3年生の妹・珠久さんも、ぎんなんでラグビーを楽しんでいる。(撮影/松本かおり)

 ピッチにいても、ベンチに引っ込んでも元気だった。
 所属する「ぎんなんリトルラガーズ」のコーチは福本梨乃のことを「三度の飯よりタックルが好き」と言う。
 博多中学校に学ぶ2年生は笑う。
「タックルするのが好きというより、タックルはチームに貢献できるから好きなんです」
 あどけない顔をキリッとさせた。

 12月29日に開幕した全国ジュニア大会(神戸総合運動公園ユニバー記念競技場&補助競技場)。第3ブロックには各地域の女子代表チームが出場し、福本がメンバーに選ばれている九州北部女子代表は1回戦で関東甲信越女子代表と戦った。
 試合は最後の最後まで勝敗の分からぬ展開となった。終了間際にトライを許した九州北部代表は17-22と敗れる。
 しかし、先手をとられる展開にも諦めず、終盤に一度は追いついた。その粘りは準備を重ねてきた証拠。応援席からも拍手が届いた。

 153センチ、45キロの福本も、小柄ながらFWで奮闘した。
 ラインアウトではジャンパーを務め、大柄な仲間にひょいと持ち上げられた。ディフェンス時はブレイクダウンサイドに立って相手に圧力をかけたり、密集に頭を突っ込んだり。アタック時は低い姿勢で前に出た。
「ディフェンスのとき、ピラーの位置からもっと相手SHにプレッシャーをかけていこうと言っていたのですが、ときどき人がいなくて、自由に動かせてしまうシーンもありました。終盤は疲れて思うように走れなくなったので、もっと走りこんでスタミナをつけないといけないですね」
 後半13分に交代するまで、攻守に動き続けた。

 友だちに誘われ、小学校3年生の冬に『ぎんなん』に入った。家庭的な雰囲気のクラブで育ち、ラグビー特有のチームワークに惹かれた。
 同学年の大柄な女子と比べても、約20センチ、約20キロほど体格的に劣ることもあるが、「ガッシリした男子相手ではキツイけど、細い男子や女子相手なら戦えます」と強気を崩さない。
「チームの方針としてもそうですが、低いタックルでいけば倒せます」

恐れることなく大きな相手にも立ち向かう。(撮影/松本かおり)

 ラグビー以外に興味あるものは?
 そんな問いには「う~ん」と首を傾げ、「ケヤキザカ(欅坂46)は好きですけど…アイドルとかは、あんまり。(前に習っていた)ピアノを弾きたいかなあ」。熱心なものはあまりなさそうだ。
 自身の将来については、「フッコー(福岡高校)に進学して、ラグビーをやれたらいいですね。(ぎんなんの)コーチに、将来はオリンピックに行け、オリンピックに行け、とよく言われます。そうなったらいいですね」とあっけらかんとしている。

 補助競技場で実施されたこの日の試合に敗れ、今大会は(決勝の舞台である)メインスタジアムの芝を踏むことができなかった。
「それが残念です。だから来年は、絶対にあっちでやりたい」
 1年後、体はもっと大きくなっているだろうか。
 もっともっとタックルして、まずは1年後、メインで戦う目標を達成したい。