開始2分、早大WTB佐々木尚がトライ。佐々木は攻守に冴えわたった(撮影:松本かおり)
要所でスクラムの反則を取られ苦しんだ慶大FW。地力の強さは随所に(撮影:松本かおり)
<第55回全国大学ラグビー選手権大会 準々決勝>
早稲田大学 20-19 慶應義塾大学
(2018年12月22日/東京・秩父宮ラグビー場)
早大の逆転トライが決まったのはホーンが鳴った後のラストプレーだった。
前半から渾身の攻防を続けた1か月ぶりの「早慶戦」で、早大が再び凱歌をあげた。
前半2分、早大理詰めのアタックで左隅にWTB佐々木尚が飛び込む先制トライ。7分には、慶大が、早大SO岸岡智樹への鮮やかなチャージからトライを返して、早大5-7慶大と逆転する。その後は慶大が攻め、早大がアグレッシブなタックルでしのぐ展開が続いた。
大きかったのは、前半25分から5分間以上続いたゴール前の攻防。
ラックから慶大FWがボールを持ち出し、何度も早大ゴールを脅かしたが、早大防御を崩せず、最後は早大がスクラムで慶大の反則を引き出しピンチを回避した。この後、再び慶大のスクラムの反則からチャンスをつかんだ早大が、連続攻撃からPR小林賢太を飛び込ませて、早大12-7慶大と逆転した。
後半も、早大は看板のディフェンスでプレッシャーをかける。もともと攻める時間の長かった慶大は、FW、BKの選手交代でリズムを変え、優位に立っていたスクラムを起点としたトライを含む2トライを奪って19-15とした。
そして勝負を最後に左右したのは後半39分のスクラムだった。
慶大が自陣マイボールのスクラムでペナルティの判定を受け、一連の攻撃からWTB佐々木が右隅に飛び込んで早大20-19慶大に。
早大の相良南海夫監督は「勝ち切れたことだけがすべてでした」と、ほっとした表情。試合の入りや、イージーなミスの連鎖を課題に挙げた。
対する慶大にとっては、結果的にセットプレーが勝負の綾となった。
「僕らは明確に、スクラムには自信を持っています。判定のことは分かりません。相手との差は、感じていない。結果を残せなかったことが悔しい」と慶大の古田京主将。慶大の部員、指導陣は最後まで毅然と話し、勝負を受け入れていた。