前半17分、東洋大防御を突破してトライを奪った専大CTB夏井大樹。
この日3トライ。(撮影/松本かおり)
前進する中大NO8鬼頭悠太を必死に止める関東学院大。(撮影/松本かおり)
ほとばしる熱が4チームから感じられた。勝っても負けても4年生にとっては愛するクラブでのラストゲーム。2試合とも気持ちの入ったプレーが何度も見られた。
12月8日に熊谷ラグビー場Bでおこなわれた関東大学リーグ戦1部と2部の入替戦。ともに1部のチームが勝ったものの、2部の1位・関東学院大、2位・東洋大とも、力の限りを尽くした。
第1試合は1部7位・専大と2部2位・東洋大の対戦だった。ファイナルスコアは42-24。専大が先手を取り続けて危なげなく勝つも、東洋大に取っては大きなステップとなった。
20年ぶりの入替戦進出だった東洋大。開始17分で2トライを許し14点を先行されるも、20分にFL土肥航のキックチャージで作った好機にPR小山内健がトライ。その6分後にもFB大内錬の見事なハイパントキャッチから攻撃。最後はFL吉尾凌平がインゴールに入り、12-14として前半を終えた。
スクラムでも接点でも十分にやり合えた東洋大。しかし専大に勝負どころで得点を許し、ジリジリと引き離された。
後半2分にラインアウトからSO石原武の突破を許し、サポートしたFL坂本洋道がトライ。同8分にはSH?橋昴平に密集サイドを走られ、最後はCTB夏井大樹にインゴールに駆け込まれる。結局後半だけで4トライを許し42失点を喫した。
勝った専大・村田亙監督が「やって来たことを出せば大丈夫。全部出し切ってこい」と送り出し、1部残留を決めたこの試合。しかし、今季から東洋大を率いる福永昇三監督は、「この試合を、これからのもっと大きな飛躍のきっかけにしよう」と選手たちに語りかけた。
「(選手たちは)やれることはやったと思います。ただ、こういった試合をこれまでやったことがなかった。積み重ねていって、力をつけていきます」
第2試合では1部・8位の中大が2部・1位の関東学院大に47-29と完勝した。
2部で7戦全勝と、充実したシーズンを送ってきた関東学院大と1部7戦全敗の中大。勢いのある関東学大のパフォーマンスが注目されたが、立ち上がりに相手を叩いたのは中大。開始13分で2トライ、14点を奪い、前半を28-14。後半も先に2トライを追加して40-14と差を広げ、勝負を決めた。
この日4トライと大活躍のWTB米沢慧剛が「ハードな準備を重ねて来た成果が出た」と笑った80分。敗れた関東学院大にとっては、勝者の圧力にミスを連発しているうちに引き離され、強味を出せないまま流れを失う展開だった。
敗れたチームの中で最後まで必死に闘い続けたCTB青山晃主将は絞り出すような声で話した。
「去年ここで負けて以来、その悔しさを忘れることなく過ごしてきました。すべての試合はこの日(この入替戦に)勝つため。そう思って戦ってきました。でも、足りなかった」
後輩たちに向けて言った。
「うちのスタッフたちは、理想的なラグビーを教えてくれる。それを信じ、それだけでなく、自分たちでも考えて、いいラグビーを実現していってほしい」
下級生たちは4年生の姿を見て、新たな決意を胸に抱く。
トップレベルで戦う権利を守り切った。トビラを開けなかった。それらの意地と無念さは、新チームの大きなモチベーションとなる。