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山沢京平、慶大戦で決定的な仕事も「ミスに厳しく」と反省。帝京大戦へ。

2018.11.18

慶大戦では2トライを挙げた明大の山沢京平(撮影:松本かおり)

 厳しくありたい。

 昨年度の大学選手権で19シーズンぶりの決勝戦に進んだ明大ラグビー部は11月18日、東京・秩父宮ラグビー場で同9連覇中の帝京大と激突。関東大学ラグビー対抗戦Aの順位を左右する重要な一戦に向け、最後尾に立つ山沢京平が気を引き締める。

「BKでも自分個人でもミスがあった。ミスに厳しくして、ミスした後の反応、プレーの精度を突き詰めていきたいです」

 こう語ったのは4日。慶大との対抗戦5試合目の後だ。

 チーム全体で流れを止めるエラーを多発し、24−28で今季対抗戦初黒星を喫した。山沢自らもペナルティキックをコーナーに蹴る際ミスを犯していたとあり、普段の練習の質を変えたいと誓った。

 次は王者との対戦だ。帝京大には春、夏と対戦して勝利も、SHの福田健太主将は「2連勝して自信にはなりましたが、それを一回、忘れて、緊張感を持ってやっていきたいです」。慶大戦の失敗は繰り返したくない気持ちは、2年生FBの山沢も同じだろう。

 身長176センチ、体重84キロ。見た目はすらりとしているが、相手をかわしながら走る際のボディバランスには腰の強さをうかがわせる。相手と正対しながらスペースに放るパス、短いモーションで遠くまで飛ばせるキックも長所とし、今夏までは20歳以下日本代表としても活躍してきた。

 惜敗の慶大戦では、決定的なスコアも決めている。9点リードされて迎えた前半31分には、敵陣22メートル線付近中央で明大CTBの森勇登が相手防御の背後へキック。山沢はその弾道に追いつき、軽く足を当てる。絶妙なドリブルで楕円球の弾みを最小化し、難なくゴールライン付近でそのボールをピックアップ。まもなくトライとゴールを成功させ、12−14と迫った。微妙な皮膚感覚を語る。

「真ん中のスペースが空いているとわかっていた。勇登もそれをわかっていて、蹴った。それに自分が反応した形です。自分の走っているところ(胸元)にちょうどボールが入ってきてくれればよかったのですけど、止まった。それで、ちょっと蹴りました」

 後半28分には、24−21と一時勝ち越しとなる2トライ目を決める。連続攻撃のさなか、左タッチライン際にできた防御の死角へ駆け込む。パスを受け取り、そのままインゴールまで駆けた。

「相手のディフェンスが出てくるのがわかった。BKが連動して、最後は空いているスペースに自分が駆け込んだ。BKとしてよかったと思います」

 何より、チームのいちばん後ろで衛星のように動き、相手SOの古田京主将らが放つキックに反応。陣地の取り合いで後手を踏まぬよう、穴をふさいでいた。

「蹴られる前に(蹴られる場所を)予測しながら、蹴られた時に反応。そういうことを大事にしました」

 こう思いを明かすかたわら、反省も忘れなかった。

「たまに裏のスペースを取られてピンチになったり、実際にそこへ蹴られてなくても穴を空けてしまったところがあったりした。そこは修正していって隙のないディフェンスができたらいい」

 帝京大と明大はいずれも大型FWを有し、より敵陣ゴールラインに近い位置でプレーしたい。そのため陣地の取り合いでの優劣が勝敗を分けそうで、最後の砦にかかる期待は大きい。慶大戦でいい薬をもらったであろう2年生FBのプレーに、注目が集まる。

(文:向 風見也)
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