第55回全国大学ラグビー選手権大会の出場権がかかる九州学生リーグ1部の優勝決定戦が11月11日、福岡・博多の森陸上競技場でおこなわれ、福岡工業大が31−19で九州共立大に勝ち、2年ぶり26回目の大学選手権出場を決めた。
2014年度に決勝リーグで福工大と勝点で並び両校優勝となりながらも得失点差で全国行きの切符を逃していた九共大は、今季、リーグ戦を7戦全勝1位で通過し、最終順位決定戦で悲願達成を目指したが、初の大舞台へは一歩届かなかった。
リーグ戦で2敗していた福工大だが、順位決定戦では怪我人が復帰してFWが耐えられるようになり、ゲームが大きく崩れないようになった。
「共立さんはディフェンスがよくて、それで育てられました。タフになってきた。リーグ戦後、セットピースを重点に取り組み、課題だったペナルティを減らすこともだいぶ修正できて、思ったようなアタックができるようになりました」(福工大・宮浦成敏監督)
接戦だった。
前半7分、福工大がLO久保田涼太のトライで先制する。
九共大は19分、モールでしぶとく押してトライ。
シーソーゲームとなり、32分、福工大は敵陣22メートルライン中央付近の密集からNO8ソセフォ・ファカタヴァが抜け出してゴールに持ち込み、リードを広げる。
しかしハーフタイム前、福工大が勝手に40分経過と判断してタッチに蹴り、敵陣深くでチャンスとなった九共大は、FWでゴールに迫り、最後はPR柳川真澄がインゴールに腕を伸ばし、14−12と2点差に詰めて折り返した。
後半の序盤、九共大にミスがあり、45分(後半5分)、福工大は敵陣22メートル内のラインアウトからモールで前進し、NO8ファカタヴァがショートサイドを突いて左隅にフィニッシュ。3年生ながら副将も務めるファカタヴァはゴールキッカーとしても安定していて、49分にはPGで加点した。24−12となる。
同じトンガ出身で、今年はU20日本代表のCTBとしても活躍した1年生のシオエリ・ヴァカラヒは果敢なヒットでチームメイトを鼓舞した。
12点を追う九共大は57分、キャプテンのSH石田圭祐がトライを挙げて点差を詰めた。ハーフウェイ左でFKを得ると速攻で大きく右にボールを動かし、LO竹内柊平がタッチライン沿いをビッグゲイン。テンポよく攻め込み、石田が間隙を突いてインゴールに飛び込んだ。
その後、福工大に反則が続き、流れが変わる。そして九共大は再びゴールに迫りチャンスとなるのだが、追加点を奪うことはできず、石田キャプテンは「あそこで取り切れていたら、たぶん勝ってたんじゃないかなと思う」と悔やむのだった。
ピンチをしのいだ福工大は70分にNO8ファカタヴァがハットトリックを決め、粘る九共大を突き放した。
敗れた九共大の石田キャプテンは涙をこらえきれなかった。
「4年間一回も大学選手権に行けなかったんで、悔しいです。あと一歩何かが足りなかった。自分は1年からずっと試合に出させてもらって、いろんな方に指導してもらって、伸び伸びやらせていただいた。そういう環境が今日で終わってしまう。悲しいという思いもあります」
一方、身長171センチ、体重65キロと小柄ながら果敢なカウンターアタックでチームを活気づけ、2年ぶりの大学選手権出場を決めた福工大キャプテンのFB佐竹克基は、喜びは控えめに、そして全国大会へ向け気を引き締める。
「去年の先輩たちの分まで出し切る。そして、九州の代表として誇りを持って挑み、いい結果を残せればいいなと思います。今年のスローガンは『プライド』。自分たちはチャレンジャーなので、チーム一丸となって戦いたいです」
福工大は11月24日に福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でおこなわれる大学選手権1回戦で、初出場の北海道大(北海道・東北地区代表)と対戦する。
松本健志監督のもと新たな歴史をつくりたかった九州共立大。4年生は後輩に夢を託す
(撮影:RUGBY REPUBLIC)