サクラセブンズの強化拠点のひとつとなり弘前は盛り上がっている。
アジア競技大会で獲得した金メダルを手にする櫻田宏・弘前市長(右)
空港到着に合わせ、女子ラグビーを応援する青南商事のスタッフなど弘前の人々がお出迎え
銀杏並木が黄金色に輝いている。午前中まで強く降っていた雨も上がり、青空が選手たちを迎えた。
初めて金メダルを獲得したアジア競技大会。
3大会Vと完全優勝を果たしたアジア・セブンズシリーズ2018。
その両大会を戦った選手たちを多く含む女子SDS(セブンズ・デベロップメント・スコッド)の弘前合宿が10月29日に始まった。
11月1日まで現地でトレーニングに取り組む。
昨秋に続いて2度目の弘前合宿だ。トレーニング拠点となる弘前市運動公園には、グラウンドとジム、宿泊施設がまとまっている。チームの指揮を執る稲田仁ヘッドコーチは「すべて歩いて移動ができる。練習したいときにしたいだけできる環境がありがたい」と話す。
まだ18歳ながらゲームでSHとしてチームをリードする平野優芽は、初めて訪れた街の印象を「きれいですね」と話した。
「東京出身なので、自然がたくさんあって気持ちよく感じます。アジアで勝てたのは嬉しいのですが、世界(上位国)との差は大きいと思っています。弘前で、一つひとつのプレーをじっくり練習したいですね」
青森空港から弘前市内に移動した直後におこなわれた歓迎セレモニーには櫻田宏市長も駆けつけた。
同市長は弘前高校時代はラグビー部に所属していた。目の前に並んだアスリートたちを見て目尻を下げた。
2020年の東京五輪でメダル獲得を目指すチームを、地域をあげて支援したいと思っている。サポートを約束し、「オリンピックでは弘前市民も喜ぶ活躍を期待しています」とエールを送った。
稲田ヘッドコーチは、今回の合宿の位置づけをこう話した。
「昨年初めて弘前で合宿をした後、ワールド(ラグビー・セブンズ)シリーズを戦う中で世界に揉まれ、コアチームからは降格しましたが、アジア競技大会、アジア・セブンズシリーズで優勝するような成長はできたと思います。この合宿から、東京五輪に向けて新たなスタートを切る。世界相手にどう勝負して勝つのか、選手、スタッフでイメージを描く合宿にしたいですね」
まずは、来春のコアチーム昇格大会で絶対に勝つための準備を重ねる。
その目標に到達した後もハードワークを続け、世界一のフィットネスを手に入れる覚悟だ。
大舞台まで2年を切っている。無駄にできる時間など少しもない。
弘前を、アジアの頂点からもうひとつ上のレベルへ踏み出す場所にする。